システムで一番大切なものは「人」
優秀ではないシステム提供会社は人を見ず、流行りの技術や、自社にとって都合のよい技術と都合だけでシステムを構築しようとします。そんな事をすれば当然システム導入は失敗します。システムを使うのは人間であり、人間の事を考えていないシステムが役に立たないのは至極当然です。
私がシステム構築をする時は、極力お客様と会話をし、可能な限り業務を見学します。日本のIT産業は多重請負構造なのでそれが叶わず、仲介会社から間接的に聞き出す羽目になる事も多いのですが、お客様の業務をシミュレートできれば、システム導入の成功率が高いと断定できます。システム開発成功の鍵は、どれだけお客様の立場に立てるかだと言えるでしょう。
私がシステムを構築する際には、お客様と会話をするのと同時に、頭の中でシステムを分析・設計・実装を行い運用までシミュレーションをします。このシミュレーションの鮮明さでシステム開発の成否が初めからわかります。これがシステム屋の必須能力であり、技術力とはお客様の要望を具現化する力というのが私の持論です。
シミュレーション能力が役に立つ理由は、もちろん精神論ではありません。システム開発が失敗する一番の理由は、仕様書の不備と広い意味での開発環境の不備です。情報が足りなければよいシステムが作れるはずがありません。お客様と会話するのと同時に、システム開発の全てをシミュレーション出来れば、あらかじめ足りない情報が分かりますので成功率が高くなります。
この記事を読んでいる人の大半はサラリーマンであり、日本の産業構造からお客様の声を聞き難い状況に居る事でしょう。しかしながら、その状況を甘んじて受ければプロでなくなります。何故ならば、お客様が望むシステムが作れなくてプロとは呼べないからです。
日本のIT産業は余りにも酷い状態ですが、常にお客様の事を考え、プロとして恥ずかしくない生き方をするよう心掛けましょう。そうすれば、自分という人間の存在意義を見出し、心残りのない人生を送れます。