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Scalaにおけるシングルトンオブジェクトの罠

 Scalaのシングルトンオブジェクトの使用は警戒せねばなりません。シングルトンオブジェクトと言うぐらいだから、絶対に1つしか作成されないかというとそうでもないようです。

class Sample
{
  private object Inner {
    private var value : Int = 0
    def getValue = value
    def addValue = { value += 1 }
  }
  def addValue = Inner.addValue
  def getValue = Inner.getValue
}

object Main {
  def main(args: Array[String]): Unit = {

    //静的に値がカウントされているのかを実験
    val obj = new Sample
    obj.addValue
    printf( "オブジェクト1の値:%d\n", obj.getValue )

    val obj1 = new Sample
    obj1.addValue
    printf( "オブジェクト2の値:%d\n", obj1.getValue )
  }
}

※NetBeansにて試しました。
このサンプルを実行すると予想に反して、オブジェクト1と、オブジェクト2の値が共に1になってしまいます。シングルトンオブジェクトなのにこれは変です。これでは、内部オブジェクトにして、静的変数を模倣できません。
 その答えは、Scalaの実装方式にあるようです。Scalaは自動生成クラスのインスタンスとして、シングルトンオブジェクトを実装しています。ですから、インナークラスの値が毎回初期化されているように見えるのです。私はてっきり、次の様なJavaプログラムと等価になると思っていました。

//静的内部クラス
class Sample
{
    private static class Inner {
        private static int value = 0;
        static int getValue() {  return value; }
        static void addValue() { value += 1; }
    }
    void addValue() { Inner.addValue(); }
    int getValue() { return Inner.getValue(); }
}

public class Main {
    public static void main( String[] args ) {

       //静的内部クラスを検証
       Sample obj = new Sample();
       obj.addValue();
       System.out.printf("オブジェクト1の値:%d\n", obj.getValue() );
       
       Sample obj1 = new Sample();
       obj1.addValue();
       System.out.printf("オブジェクト2の値:%d\n", obj1.getValue() );
    }
}

どうやら、内部オブジェクトに定義して、クラス数の増加を防ぐ方法は採れないようです。とはいえ、これは明らかにおかしな現象だから、後で直されるかもしれません。
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テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

Scalaなシングルトンオブジェクトを安易に定義してはならない

 先ほど、Scalaのシングルトンオブジェクトについて書いたので、注意事項を書きます。Scalaでは、シングルトンオブジェクトが簡単に記述できます。ですから、ついついシングルトンオブジェクトを多用しがちです。しかし、安易にシングルトンオブジェクトとして定義してはなりません。
 プログラマが知るべき97のことにて、サム・サーリスト氏が「シングルトンパターンの誘惑に負けない」と警告しています。これは真実です。オブジェクト指向設計をしていると、「これは単一のオブジェクトでは?」と思う事が沢山あります。しかし、開発を進めるに従って、情報が足りないだけであったと判明した場合や、仕様の変更に従ってシングルトンから普通のオブジェクトに変更される場合が多々ありました。
 Scalaでは容易に定義できる事もあり、シングルトンオブジェクトを使いたくなるでしょうが、慎重に設計および実装をしましょう。これは、他言語の静的クラスにも当てはまります。道具選びはくれぐれも慎重に行って下さい。便利な機能があるから使うのではなく、必然性がある時のみ機能を使いましょう。

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Scalaのシングルトンオブジェクトとクラスから考える言語設計

 私がScalaに触れて最初に驚いたの事は、クラスに静的メンバーを持てない事です。仕様書を調べるとstaticキーワードすら予約語にありません。では、静的情報はどう扱うのかというと、シングルトンオブジェクトで実現します。知らない人のために簡単なサンプルを掲載します。

object Main {
  def main( args: Array[String] ): Unit = {
    println( "Hello, Scala!" )
  }
}

これはいわゆるHello,Worldプログラムです。キーワードがclassではなく、objectである点に注目して下さい。クラスは静的メンバーを持てないので、シングルトンオブジェクトにエントリポイントを用意します。
 Scalaの言語設計は非常に大胆です。C++、C#、Java、VB.NETといった言語は静的メンバーを持てますので、インスタンス変数と静的変数が混在する事になります。この言語設計では、オブジェクト指向設計から見ると、静的と一時的の二つの側面を持つオブジェクトを、一つのクラスで実装する事になります。恐らく、Scalaの設計者はそれを嫌って、クラスに静的メンバーを持たせない事を決定したのでしょう。
 私はこのScalaの言語仕様に感銘を受けました。ここまで理論を徹底させるのは素晴らしい事です。ですがその一方で、クラスの数が増える事を意味するのではないかという懸念を抱きました。そこで、例を挙げつつ考察してみました。
 例として、静的情報が必要なFooクラスを考えてみます。しかし、Scalaは静的変数が持てません。これを素直に受け取れば、StaticFooクラスが必要となります。これでは、2つのクラスが出来てしまいます。大規模開発では、クラス数が増える事は馬鹿に出来ない問題です。では、どうすればいいのかと言いますと、内部クラスを定義すればいいのです。そして、シングルトンオブジェクの静的情報を操作するメンバーを公開すれば、認識可能なクラスの数は増えません。Scalaは非常に上手く設計されています。
※注意:理論的には正しいのですが、試してみたところ上手くいきませんでした。
 コンパイラは結局のところ、アセンブラを生成する道具です。しかし、設計思想を持つ事により、バイナリを生み出すだけの道具にはなりません。人間の思考を助ける道具にもなりえるのです。これは、情報処理のあり方そのものではないでしょうか?情報システムは、ただ仕事を処理するのではなく、新しいアイデアを生み出せるものでなければなりません。

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Scalaをつつく0-まずはインストールピヨ♪

またひとつ美味しそうな言語発見♪オブジェクト指向言語と関数型言語の融合Scalaピヨ♪
今回はインストール方法を囀るピヨ♪
まずは公式ホームページのここからIzPack Installer (all platforms)(2)というフィルをダウンロードしよう。そしてダウンロードが終わったら、さっそくこのファイルをダブルクリックしてインストールしよう。後は簡単、どんどんNextを押していくだけ♪超簡単ピヨね❤
これで使えると思ったら残念ながらできないんだ。環境パスが正しくないからね。仕方が無いから、環境変数を変更しよう。

コントロールパネル→システム→詳細設定→環境変数→PATHを選択して編集ボタンをクリック

この手順を行えばWindowsXPの場合環境変数の最後に%SCALA_HOME%\binが追加されているのが確認出来るピヨ。この文字列を"(半角のダブルクォーテーション)で囲もう。こんな風にね♪ "%SCALA_HOME%\bin"
これでOKピヨォッ!試しにコマンドプロンプトにscalaと打ってEnterキーを押そう。
するとScalaが起動するピヨ♪ピヨ♪これで今日からScalaができるね♪みんなも一回試してみよう。
では、次回お楽しみに♪バイバイ♪

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インドリ

Author:インドリ
みなさん、はじめまして、
コンニチハ。

ボクは、無限の夢(infinity dream)を持つネタ好きな虹色の鳥インドリ(in dre)です。
色々な情報処理技術を啄ばむから楽しみにしてね。

http://twitter.com/indori
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