私は幼い頃から国語辞典が好きで毎日の様に読んでいました。そして現在でも
2007-'08年版 [最新] パソコン用語事典
を暇な時読みます。ですが幼い時程読まなくなりました。というのも、
用語と現実はかなり距離がある事が分かり、あまり面白みを感じなくなったからです。なので、一応最新版のリンクを張っていますが、私が持っているのは古い版です
用語と現実の乖離具合について考える為に例を挙げます。例えば、情報処理技術という用語を調べてみましょう。
引用
情報データの取り込み、加工、表示などの広範囲な処理をコンピュータで行う事。
如何でしょうか?この業務に属する人ならば物足りなさを感じると思います。私は生涯をかけて学んでいる事がこれほど簡素な説明で済まされている事がショックでした。それに、実際は
情報処理はコンピュータだけで行うものではありません。情報処理システムはコンピュータだけで成り立つものではなく、人間の働きも伴って漸く一つのシステムとなるのです。それに、この一行で解説が終わる情報処理技術を究めて居る人は多分居ないでしょう。つまり、この解説は間違ってはいないものの、現実から見ると余りにも物足りないのです。これはこの例に限った事ではなく、全ての用語に当てはまる事です。
従って辞典は人を分かった気にさせてくれますが、その用語の深い意味は体験するまで分からないといえます。この様に文章にすれば、読んだ人は当たり前と感じるでしょう。しかし、これは人の盲点でもあります。
分かりやすい例が飛行機やTVです。大概の人は、飛行機がどうやって飛んでいるのかだとか、TVがどのようにして映像を写しているのかと問いかければ、馬鹿にした態度をとります。でもよく考えてみてください。では、飛行機やTVを作れますか?これでお分かりだと思います。
人は分かっているつもりでわかっていない事が多いのです。何故私がこのような事に拘るのかといいますと、この人の盲点がシステム開発でも重要となるからです
エンドユーザはよく当たり前の事を聞くなといいます。しかし、当たり前の事なぞ一つもないのです。特に情報処理技術者は専門外の事なんて分かりません。それにも関わらず、
人は自分が常識と思っていることを説明したがりません。なおかつ、実に厄介な事に、実際のところ人は
理解していないのに常識だと思い込んでいる事が多いのです。これはもちろん情報システムを作る側にも当てはまります。開発メンバー全員が本当に意志を統一しているのでしょうか?していればデスマーチなんて起こる筈がありません。
しかし、だからといって人の意志を統一する方法はありません。辞典を見れば分かりますが、
自然言語には限界があるのです。ですから、用語の確認をきっちりする必要があります。とはいえ、時と場合を考える事が重要です。そうしないと、
情報は正確に病に罹ってしまいます。何事もバランスが大事だという事です。
では纏めます。あらゆる用語は現実と乖離しており、用語の定義を辞典を調べて分かった気になってはなりません。知っているつもりが一番怖いのです。しかしだからといって、あまり拘り過ぎると一種の病人となってしまいます。常に常識を疑い、適切な時と場所では確認作業を怠らないようにしましょう。人が持つ情報は完全一致する事なんてありえないのですから、集団で作業する際には十分に注意しましょう。
テーマ : 情報処理技術
ジャンル : コンピュータ