ネタつつき101 - 自らの体質の古さを変えられない日本のIT業界
しかしながら、常に変化し新しいビジネスを提供するとされる、日本のIT業界自身はどうなのでしょうか?私は時代錯誤の産業構造を持つ、変われない業界だとしか思えません。今回の記事はその件について書きます。
第一に、日本のIT業界の基本的構造は多重請負による官僚的構造です。IT業界の実体を知らない人は、未来的だというイメージを持っているようですが、やっている事は数百年前の産業そのものです。人月単価で人の労働力を売り買いし、親会社から子会社へと仕事を回す形で成り立っています。今時こんな時代錯誤も甚だしい産業構造を維持する日本のIT業界が、先進的だとは口が裂けても言えません。技術者達はよく奴隷産業だと揶揄しています。
第二に組織体制が古く、非効率的な仕事方法をしています。IT業界の実態を知らない人は、先進的技術を駆使した未来的な職業だと思っているようですが、基本的なやり方は数百年前と同じです。アダムスミスが提唱した分業を行い、仕様定義・分析・設計・実装・テスト・保守といった仕事が分断化されています。そのプロセスの分断化により、悪い意味で官僚的になり、仕事の生産性とサービス品質は下がる一方です。新しい技術が次から次へと出ていますが、それを有効に生かす職場環境がありません。現場の技術者が非効率的な根性論でこき使われているだけです。
私はこの現状が残念でなりません。1900年代はITでリードするアメリカすら日本のIT業界の技術力を認めていました。しかし今は見る影がありません。目に見えてアメリカやインドに負けていますし、つい最近ITに乗り出した中国や韓国にも負けているかもしれません。技術大国日本は過去の栄光です。
日本のIT業界は、他の業界に業務改善を売るよりも自社をビジネスプロセス・リエンジニアリングするべきだと思えてなりません。かく言う私はIT会社に対してコンサルティングする際に、ビジネスプロセス・リエンジニアリングを提言しています。ビジネスプロセス・リエンジニアリングに成功した会社はもちろん業績が伸びています。
本心を言えば、ビジネスプロセス・リエンジニアリングの考えは既に古いと考えています。しかしながら、ビジネスプロセス・リエンジニアリングも出来ない状態では次の段階へ進めない事は明白です。他業種の業務改善化を提唱するIT業界は、もっと進化するべきだと考えています。
業務の効率化や改善を売りにしているIT業界が、古い非効率的構造をしていては説得力がありません。IT不況になるのも当然だと言えるでしょう。日本のIT業界が他の業界のお手本になる事を強く願っています。
質の低下が激しいと言われていますが、日本のIT業界にも優秀な人がまだまだいます。意思さえあれば技術大国日本は復活します。今こそ、IT業界が先頭に立って日本を復興させるべきです。