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初心者のためのC#プログラミング本格入門98 - 抽象クラスを上手く使って修正箇所を減らそう

この記事は、初心者のためのC#プログラミング本格入門97の続きです。前回は、内部クラスを使って、難しいオブジェクトを作る方法について解説しました。今回は、プログラムの修正箇所を減らす方法について解説します。
 前回、内部クラスを使用するように変更したことにより、テストを修正しなければならなくなりました。プログラミングをしていると、こうした事が起こります。経験を重ねると修正回数は減りますが、どうしても修正は避けられません。従って、極力プログラムの修正箇所を減らす為の工夫が必要です。
 サンプルのテストプログラムを例にとります。このプログラムは、System.Collections.Generic.IEnumeratorを使用するように変更せねばなりません。また、今まで運よくインスタンスの作成方法が変わりませんでしたが、コンストラクタを修正する必要が生じるかもしれません。そこで、あらかじめ定義しておいた親の抽象クラスが役に立ちます。
 先ずはプログラムを見て下さい。

abstract class Test
{
    //初期化処理
    public abstract void Initialize();

    //テストの共通処理
    protected void Execute()
    {
        ++this.testCount;
        this.Initialize();
    }
    
    //他の部分は変更しない
}

新しい抽象メソッドを追加して、そのメソッドを呼び出す処理を追加しています。この意味を詳しく考えてみましょう。
 親オブジェクトに抽象メソッドを追加すると、子オブジェクトに必要なメソッドの定義を知らせる事が出来ます。その理由はビルドしてみると分かります。先ほどのプログラムを追加した状態でビルドすると、子オブジェクトがInitializeメソッドを定義していないと言う旨のエラーが発生します。これでテスト対象の初期化処理を忘れなくても済むようになります。しかも必要なプログラムは簡単です。

class SimpleListTest : Test
{
    private SimpleList target;
    System.Collections.Generic.IEnumerator<int> ie;
    public override void Initialize()
    {
        this.target = new SimpleList();
        this.ie = this.target.GetEnumerator();
    }
}

 もうひとつ効果があります。先ほど示したように、抽象メソッドを呼び出すコード(※Executeメソッドの部分)を、親クラスのメソッドに追加できます。こうすることにより、子オブジェクトが書くべきプログラムが減ります。サンプルプログラムを例にとると、メソッドごとにthis.target = new SimpleList();の様なプログラムを毎回書く必要がなくなります。決まった処理の書き忘れがなくなり、修正も少なくなるので非常に便利です。プログラミングではこうした小さな気配りが大きな生産性を生むきっかけになります。
今回紹介した種類の手法を駆使すると、フレームワークが作れます。フレームワークと言うのは、プログラムを極力少なくする為の仕組みだと思って下さい。フレームワークと呼ばれるものが、こうした手法を駆使して作られている事を覚えておくと将来役に立ちます。続く...

テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

実践的オブジェクト指向設計入門23

 この記事は、実践的オブジェクト指向設計入門22の続きです。前回は、継承の調節について解説しました。今回は、関連の設計について書きます。
 オブジェクト指向設計は、オブジェクトそのものについて着目するだけではなく、オブジェクトの関連についても熟考が必要です。情報システムにおいて設計するオブジェクト群が、単独で存在する事は稀で、互いになんらかの関連を持ちます。従って、オブジェクトの関連についても分析と設計が必要なのです。
 オブジェクト指向方法論OMTでは、関連のたどられ方の分析が提唱されています。設計段階では、オブジェクトモデル中の関連を実装する戦略を明確化する必要があります。オブジェクト間の関連を明確にしておかないと、実装の詳細に意識を奪われ設計が失敗します。関連は双方個のものが大半ですが、本当にそうなのかよく分析すると、システムの流れと本質がよく分かります。具体的には、関連の方向と多重度が重要です。
 関連には、互いに参照する双方向と、どちらかが参照しかしない片方向があり得ます。普通に考えて、双方向の場合が多いと思うでしょうが、同じ双方向でもオブジェクト群としてみたとき、設計によりパス数が異なります。上手く設計すれば、同じ操作をするにも効率よく操作できます。ですが、あえて余分なオブジェクトを加えることにより、より柔軟で再利用性が高い設計が可能となる場合もあります。GoFデザインパターンがよい例です。ただし、余分なオブジェクトを無目的に追加しても、混乱をもたらすだけです。よく注意しましょう。
 関連は多重度も大切です。主となるオブジェクトが1、使われるオブジェクトが多数というのがよくあるパターンです。他にも、多対多の関係のオブジェクトもよくありますが、関連オブジェクトを追加して、多対1の関係にすることを検討しましょう。そういった関連の重要さはデータベース設計となんら変わりません。
纏めます。個々のオブジェクトを設計するだけではなく、オブジェクト間の設計も必要だと言う事です。設計と実装の違いはこういった所で現れます。続く...

テーマ : ソフトウェア開発
ジャンル : コンピュータ

中の人の徒然草423 集合論の矛盾について考えた休日

3連休なので趣味の読書をしました。色々な本を読んだのですが、一番印象に残ったのは集合論について書籍です。
集合論について記述された専門書を読むと、集合論には矛盾があるとされています。しかし私は、これが矛盾だとは思えませんでした。発明者のカントールも矛盾ではなく、課題だとしているのがその印象を強くしました。数学の専門家ではないので、意味がよくわかっていない所もあるのでしょうが、単純に考えてカントールが発見したものは矛盾ではなく、表現上の不備およびルールの不足によるものだと思いました。
集合論の問題を簡単にいいます。1つめは、順序数集合を作りその集合に番号を付けて集合に入れると、その数値は順序数であるので a < a となり矛盾しているというものです。2つめは、集合の集合を作り、次に冪集合を作ると、濃度が違うので矛盾しているというものです。私にはこれが矛盾だとは思えませんでした。というのも、直ぐに矛盾の正体が分かったからです。
1つめの問題は、順序数を無限に番号付けし、記号を使い果たしたのにも関わらず、また同じ記号を使ったから生じた問題だと思います。集合はそもそも、同じ元を使ってはならない筈です。そうしないと、元が集合に属しているか判別できません。従って、順序数全体の集合を作った時点で、次の番号は違う記号にしなくてはならないのです。同じ記号を使うから、順序数集合の元と一致してしまうのです。本来この2つの元は違うものであり、同じ記号を使うのはおかしいです。同じ記号を使わなければ、順序数全体の集合が属している集合の元をまた加えられます。集合論の矛盾だとは思えません。
例えば、自然数の集合を考えます。自然数の集合は無限に番号を付けられます。その自然数集合を、違う集合の元とします。このとき同じ記号「1」を付けられません。「1」は自然数の元で合って、同じ元を追加してはなりません。同じように見えても、違う「1」なのです。それをはっきりさせるために、自然数が属する集合を考えます。
自然数が属する集合は、整数だと思います。整数には、「自然数」「0」「負数」があります。「0」は自然数に属しないと考えると問題ありません。問題は負数です。負数にも記号「1」があります。これは自然数と同じ1なのでしょうか?もちろん違います。絶対数的には同じですが、同様だと考えると、+なのかーなのか判別できなくなります。それは集合理論「同じ部分集合を二度数えない」に反します。従って、人類は+記号とー記号を考えて元を別物として扱います。
さて、整数の3つの元に番号をつけるとき、どの様に数えたらいいのでしょうか?答えは簡単、-10、-9...0...1...10...と言うふうに番号をつければいいのです。ちなみに、集合に番号をつける場合、1は負数、2は0、3は自然数とすればよいでしょう。ここで大事なのは何の集合化を考える事と、集合を元に持つ集合は違う次元ではなくてはならないと言う事です。すなわち、順序数の集合を順序数の集合に入れる時、番号付けを同じ次元で行っているから問題が生じると思うのです。集合に属するか否かを判定するには、任意の対応(写像/函数)が必要と言う事です。それがなければ、そもそも集合とは呼べません。
2つめの問題は、全ての集合に対する冪集合の濃度についてです。この問題の勘所は、全ての集合で構成される集合の定義だと思います。この世に存在するすべての集合を元とする集合とは、その時点で考えられる集合に過ぎないから矛盾ではないと思います。
例えば、自然数の集合は、数字の集合とも言えます。その冪集合を考えたとき、多次元を表す自然数の組が得られます。この濃度が元の自然数を上回るのは当然です。それと同じで、この世のすべての集合の冪集合を作るとは、新しい集合を考える行為でありなんら矛盾していません。これは「全ての集合の集合」と言う言葉の曖昧さがなせるものです。厳密に現時点での集合を元とすれば何ら問題ありません。
この2つの問題は、プログラミングの世界ではよくある事です。ポイントは無限と再帰です。プログラミングで自然数の集合を実装する時、自然数を生成する関数を考えます。それと同様の考えで、集合を対応(写像)と同様と捉えたとき、この2つの問題は人間が納得できないだけであって、集合論そのものは何ら矛盾していません。人間が無限を認識する時、記号と認識(常識)が理論の理解を妨げるだけだと思います。
ちなみに、濃度については、場合によってはドメイン内の元の個数を考えればよいと思います。微分と似た考えです。無限の濃度を持つ集合の性質を考えるとき、そのまま考えていたのでは人間は理解できません。従って、ある部分を取り出し、その濃度を測定すればよいと思います。
あと、ラッセルのパラドックスについては、補集合を元に含めて考えればよいと思います。「自分自身を元としない集合」とは、要するに自分以外(補集合)を元に取る集合だと思います。それは自然の考えなので、別に問題ないかと思います。他に元があればそもそも問題にならないと思いますし、もし他に元が無ければ、事実上元とするための写像がない空集合ではないでしょうか?
そういった事を考えた楽しい連休でした。カントール有難う!情報技術がある今となっては、ごく自然に発生する考えですが、彼は約100年前の人間です。約100年前に、こんなオブジェクト指向的な事を考える彼は天才です。彼が今の時代に生きていたら、きっとハッカーと呼ばれていたでしょう。

テーマ : 情報処理技術
ジャンル : コンピュータ

中の人の徒然草422

政治は駄目だと言いながら、政治を複雑だからお上に任せると言う姿勢の人が多いです。私は常日頃この姿勢に疑問を感じていました。自分は考えたくないから誰かに任せる、だけど表明しない自分の願望通りになってほしいなんて、非合理的もいいところです。誰かが意見を言わない国民の心をくみ取り、良きに計らうなんて事、ちょっと考えれば理論的にありえないと分かります。その理論的にありえない事を皆が信じてこの国を駄目にしました。その姿勢は、現実を直視せず、思考を放棄し、コミュニケーションも避け、自分さえわからない願望が叶えられる事を待っているように見えます。
こういう事を言うと、学が無いからどうせ考えられないと言う答えが返ってくる事が多いです。しかし、自分は知らないから、善良で頭がよい英雄が現れるのを待つ、それは英雄を殺す事を意味します。タッチすることをさけているのですから、英雄が攻撃されていても分かりません。自分は何もしないが、良い人や英雄がどの様な目に合っても放置するでは、虫がよすぎるのではないでしょうか?政治が駄目だなどと思考停止せず、自らが考え、戦っている人を応援するのが当たり前の姿だと思います。
そうはいっても、政治だけを考えて過ごすのは土台無理な話しです。しかし、そんな事をする必要はありません。もっとも簡単な方法があります。それは、評価基準を定め、結果を見て報酬を与える形にすればよいのです。今の様に、事前に報酬を与え、良い結果が出るのをただ待っているだけでは、何も解決しません。
私はシステム屋として長年働いてきました。ですから、そういったブラックボックス(細部がわからないもの)の扱い方はよく心得ています。政治や行政の様に、細部が複雑で分からないものは、誤魔化されないように結果をみるのが一番です。また、その結果に基づき報酬を支払うのが最善です。
難しい事は分からないから忌避する。それでは何もよくなりません。しかし、駄目だと判断する基準があるのですから、望む基準を定めて報酬を与えるのは可能なはずです。もしそれが不可能であれば、分からないままに駄目だと言っている事になります。駄目だと考える基準があるのですから、学がなくても結果は判別できます。
この国の問題の根本は、国民に対して害を与えると儲かり、良い人は儲からない仕組みにあります。よい事をしたら報酬を与え、悪い事をしたら罰を与える。それが基本です。しかし今の日本は、悪い事をすればするほど儲かり、良い人になればなるほど貧しく死んでいく所にあります。
我々日本人はお金を穢れたものだと考え、良い人は報酬を求めてはならないと考えている節があります。しかしながら、善人も生きているのですからお金は必要です。また、悪党にお金を渡せば、その力を増し、さらに悪事を重ねるだけです。その現実を無視できません。悪党に自省を元も手も無駄ですし、自浄作用を求めても無駄です。反省しないから悪党なのです。
現実逃避をせず、自らの頭で考え、真実を見抜く努力をしましょう。それが生きると言う事ではないでしょうか?誰かに考えてもらうのでは生きていると言えません。

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

VBオブジェクト指向プログラミング講座 第9回 クラスだけが能じゃないインターフェイスも視野に入れよう

 この記事は、第8回 アクセス修飾子を上手く使って情報を隠蔽しようの続きです。前回は、情報の隠蔽とアクセス修飾子について解説しました。今回は、インターフェイスについて解説します。
 オブジェクト指向プログラミングと言えばクラスと思いがちですが、インターフェイスも有用なツールです。インターフェイスを一言で言うと、オブジェクトが守るべき約束や契約を表すものです。従って、クラスの様に実装を継承する事は出来ませんが、その方がかえってよい時もあります。例えば、そのアプリケーションでは、オブジェクトに識別子が必要だったとします。この状況で、全てのオブジェクトを、識別子オブジェクトの子オブジェクトとして定義するのは不可能に近いでしょう。.NETでは多重継承が出来ないので、Windowオブジェクトの子オブジェクトを、識別子オブジェクトの子に出来ません。

Imports System
Imports System.Windows
Imports System.Windows.Controls
Imports System.Windows.Input

Friend Interface IIdentifier
    ReadOnly Property Number() As Integer
End Interface

Friend Class MessageWindow
    Inherits Window
    Implements IIdentifier

    'このウィンドウの名前
    Private m_id As String
    Public ReadOnly Property Number As Integer _
        Implements IIdentifier.Number
        Get
            Return Me.m_id
        End Get
    End Property

    'インスタンスを識別するための定義
    Private Shared NextID As Integer

    'Windowのサイズを指定するための定義
    Private Shared random As Random =
        New Random(DateTime.Now.Ticks Mod Integer.MaxValue)

    '使用するメッセージ
    Private m_message As String
    Private Function CheckMessage(ByVal value As String) As Boolean
        If value Is Nothing OrElse value.Length = 0 Then
            Return False
        Else
            Return True
        End If
    End Function
    Public Property Message() As String
        Get
            Return Me.m_message
        End Get
        Private Set(value As String)
            If Me.CheckMessage(value) = False Then
                Throw New ArgumentException(
                    "1文字以上の文字列を指定して下さい。")
            End If
            Me.m_message = value
        End Set
    End Property

    '各種コントロール
    Dim input As TextBlock
    Dim text As TextBox

    'メッセージを指定してインスタンスを生成する
    Public Sub New(Optional ByVal msg As String = "Hello World")

        'Windowの設定
        Me.Height = random.Next(100, 1000)
        Me.Width = random.Next(100, 1000)
        Me.Message = msg

        'ボタン上のコントロール
        Me.input = New TextBlock()
        text = New TextBox()
        Dim panel As New StackPanel()

        Dim createBtn As New Button()
        createBtn.Content = "作成"
        AddHandler text.KeyDown,
            Sub(sender As Object, e As KeyEventArgs)
                If e.Key = Key.Enter Then
                    createBtn.Focus()
                    e.Handled = True
                End If
            End Sub

        Dim searchBtn = New Button()
        searchBtn.Content = "番号検索"
        AddHandler searchBtn.Click, AddressOf SearchWindow
        Dim nameBtn As New Button()
        nameBtn.Content = "番号は?"
        AddHandler nameBtn.Click,
            Sub(sender As Object, e As RoutedEventArgs)
                MessageBox.Show(
                "私は" & Me.Number & "号",
                "識別子",
                MessageBoxButton.OK,
                MessageBoxImage.Information)
                e.Handled = True
            End Sub

        Dim endBtn As New Button()
        endBtn.Content = "終了"
        AddHandler endBtn.Click, Sub() Application.Current.Shutdown()

        panel.Children.Add(input)
        panel.Children.Add(text)
        panel.Children.Add(createBtn)
        panel.Children.Add(searchBtn)
        panel.Children.Add(nameBtn)
        panel.Children.Add(endBtn)

        'ボタン
        Dim btn = New Button()
        btn.Content = panel
        Me.Content = btn
        AddHandler btn.Click, Sub() Me.CreateWindow()
        AddHandler btn.KeyDown, Sub() text.Focus()

        'その他の処理
        Me.SetMessages()
        Me.m_id = MessageWindow.NextID
        MessageWindow.NextID += 1
    End Sub

    '指定した番号を持つウィンドウを検索
    Private Sub SearchWindow(sender As Object, e As RoutedEventArgs)
        Dim value As Integer
        If Integer.TryParse(text.Text, value) = True Then
            For Each win In Application.Current.Windows
                Dim w As MessageWindow = CType(win, MessageWindow)
                If w.Number = value Then
                    MessageBox.Show(
                        "見つかりました♪",
                        "検索結果",
                        MessageBoxButton.OK,
                        MessageBoxImage.Information)
                    e.Handled = True
                    w.Activate()
                    Exit Sub
                End If
            Next
        End If
        MessageBox.Show(
            "指定のウィンドウはありません。",
            "検索結果",
            MessageBoxButton.OK,
            MessageBoxImage.Exclamation)
        e.Handled = True
    End Sub

    '新しいウインドウを作成する
    Private Sub CreateWindow()
        Dim win As MessageWindow
        If Me.CheckMessage(Me.text.Text) = False Then
            win = New MessageWindow()
        Else
            win = New MessageWindow(Me.text.Text)
        End If
        win.Show()
        Dim btn As Button = CType(win.Content, Button)
        btn.Focus()
    End Sub

    '指定されたメッセージを各種要素に反映する
    Private Sub SetMessages()
        Dim str As String = Me.Message
        Me.Title = str
        input.Text = str
    End Sub

End Class

前のサンプルに、識別子を使ってウィンドウを検索する機能を追加しました。今回のサンプルでは、あまり識別子が有効利用されていません。ですが、識別子インターフェイスを使って、Window以外にも識別子をつけて検索できるように拡張するのは簡単です。これが可能になるのもインターフェイスのお陰です。
 もっと成功例を知りたい人は、LINQを思い浮かべるとよいと思います。LINQは、インターフェイスと拡張メソッドを上手く組み合わせています。他には、.NETフレームワークのコレクションオブジェクト群を調べてみるとよいでしょう。インターフェイスが上手に使用されています。
 インターフェイスは極めて便利なツールですが多様は禁物です。特に、外部に公開するインターフェイスは慎重に検討しましょう。何故ならば、一度公開したインターフェイスを変更するのは大変だからです。古くからVBを使用している方は、COMプログラミングを思いだせばよくわかると思います。
 インターフェイスのアクセス修飾子は、基本的にFriendにしておきましょう。そうすれば、同僚に怒られるぐらいで済みます。慎重に設計をしていても、仕様変更はあります。その時の影響が最小限になるように、常に気をつけましょう。

テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

初心者のためのC#プログラミング本格入門97 - インナークラスを使って関心事を分離しよう

この記事は、初心者のためのC#プログラミング本格入門96の続きです。前回は、テストでありがちな間違いを防ぐための方法を解説しました。今回は、難しいオブジェクトを作る方法について解説します。
解説を進める前に、SimpleListが複雑化しているのを改善します。この様な、インタフェースを実装する、難しいオブジェクトを作る際には、プログラムが乱れたままプログラミングを続けると混乱してしまいます。特に初心者はそうです。プログラムが乱れ、理解するのが難しなっているのにリファクタリング(コードの整理)しないと、たちまち訳が分からなくなってしまいます。
こういった状況では、以前使ったインナークラス(内部クラス)を使用すると、プログラムを整理整頓できます。インナークラスを使って整理すると以下の様になります。

class SimpleList :
    System.Collections.Generic.IEnumerable<int>
{
    //インナークラス(内部クラス)を定義
    private class Enumerator :
            System.Collections.Generic.IEnumerable<int>,
            System.Collections.Generic.IEnumerator<int>
        
    {
        private int[ ] data;
        private int readIndex; //読み取り位置

        public Enumerator( int[ ] data )
        {
            this.data = data;
        }

        #region IEnumerable<int> メンバー

        public System.Collections.Generic.IEnumerator<int>
            GetEnumerator()
        {
            return ( System.Collections.Generic.IEnumerator<int> ) this;
        }

        #endregion

        #region IEnumerable メンバー

        System.Collections.IEnumerator 
            System.Collections.IEnumerable.GetEnumerator()
        {
            return ( System.Collections.IEnumerator ) this;
        }

        #endregion

        #region IEnumerator<int> メンバー

        public int Current
        {
            get { return this.data[ this.readIndex ]; }
        }

        #endregion

        #region IDisposable メンバー

        object System.Collections.IEnumerator.Current
        {
            get { return this.data[ this.readIndex ]; }
        }

        public void Dispose()
        {
            this.data = null;
        }

        #endregion

        #region IEnumerator メンバー

        public bool MoveNext()
        {
            ++this.readIndex;
            return this.data.Length > this.readIndex;
        }

        public void Reset()
        {
            this.readIndex = 0;
        }

        #endregion
    }

    public System.Collections.Generic.IEnumerator<int> 
        GetEnumerator()
    {
        return ( System.Collections.Generic.IEnumerator<int> )
            new Enumerator( this.data );
    }

    System.Collections.IEnumerator 
        System.Collections.IEnumerable.GetEnumerator()
    {
        return ( System.Collections.IEnumerator )
            new Enumerator( this.data );
    }
    
    //他のプログラムは省略
}

SimpleListがSystem.Collections.Generic.IEnumerable<int>だけしか継承していない点に注目して下さい。細かい処理は、インナークラスであるEnumeratorに任せているので、System.Collections.Generic.IEnumerator<int>は実装しなくても大丈夫です。これでプログラムが分かりやすくなりました。
以前のサンプルプログラムは、foreachループに対応するためのプログラムが混在し、読み難くなっていました。目的が違うプログラムが混在している状態は、間違いを誘発するので好ましくありません。foreachループに対応するためのプログラムは、インナークラスとして別に分離しましょう。ちょっと難しい言葉(ソフトウェア工学の用語)で言うと、これを関心事の分離といいます。余裕があれば覚えて下さい。
話しは少し変わりますが、こうしたプログラムの変更は、テストプログラムの修正が必要になります。仕方がないので修正するしかありません。ただし、工夫をすると修正範囲が狭くなります。続く...

テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

プロフィール

インドリ

Author:インドリ
みなさん、はじめまして、
コンニチハ。

ボクは、無限の夢(infinity dream)を持つネタ好きな虹色の鳥インドリ(in dre)です。
色々な情報処理技術を啄ばむから楽しみにしてね。

http://twitter.com/indori
は別人による嫌がらせ行為です。
私とは関係ないので注意して下さい。
次はなりすましブログなどをするかもしれませんが、ここ以外でブログをするつもりがないので、ここ以外にインドリのブログがあったとしても無視してください。


何度言っても分からない人がいるので、ここにコメント欄へ書き込むときの注意事項を書きます。


一、社会人としてのマナーをわきまえましょう。
一、妄想に基づく書き込みを止めてください。
一、暴言の類は書かないで下さい。
一、某誹謗中傷サイトの書き込みは彼らの妄想に基づく書き込みですから無視して、ここへ書き込まないで下さい。
一、コメント書く前に他のコメントよく読んでから行って下さい。
一、言いがかかり等の行為を禁止します。
一、その他常識的に考えて迷惑なコメントはしないで下さい。


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