アジャイル開発と契約7
情報処理特有の問題として、バグが実質0にはならず、機能保証をする事は困難です。しかし、その困難さは、アジャイル開発を採用する事により軽減されます。多くの問題は、エンドユーザーとの認識の違いにより発生するものですから、アジャイル開発によりエンドユーザーの要望を積極的に聞いていれば、認識の違いによるバグは確実に減らせます。そこで、基本契約にエンドユーザーと購入者の参加に関する条項を盛り込むべきです。
具体的には、エンドユーザーが積極的に参加しない場合、機能保証は出来ない旨を表す条項を設けます。そうする事により、理不尽な訴訟のリスクを避け、提供する商品の品質を上げる事が出来ます。また、保証内容の曖昧さが原因で起こる摩擦もなくなります。これは、販売者と購入者、双方に利益がある事なので、これは契約書を作成する上で絶対に押えておくべき点だと言えます。
機能保証に関する条項に於いて、注意するべきなのは、保証するべき機能が変化する点です。ですから、基本契約時には細かい事まで踏み込んで書いてはなりません。細かい事柄は、個別契約時にその都度決定しなくてはなりません。ウォーターフォール開発モデルを採用している会社でも、契約時には別の書類に書かれた事を保証するという条項を書く場合が大半であり、同じだと感じる人もいるでしょうが、変化を当然起こるものだと考え、個別契約にて対応する事を前提とする点が違います。この違いは重要なので、十分に注意しましょう。アジャイル開発を採用しても、ウォータ-フォール開発モデルと同様の考えで契約を結べば、真にアジャイル開発を活用している事にはならず、機能保証に関するトラブル生む結果になります。
続く・・・