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Win32並行処理プログラミング入門21

 この記事は、Win32並行処理プログラミング入門20の続きです。今回は、新しい同期オブジェクトを紹介します。
 並行プログラミングでは、「他のスレッドで初期化処理が終わった」などといった情報を知りたい場合があります。その場合は、イベントを使用します。使用方法は簡単ですが、注意するべき点もありますので、サンプルとともに解説します。

/***************************************************************

//イベントを使用したいだけのサンプル

****************************************************************/
#include <iostream>
#include <string>
#include <windows.h>
#include <WinBase.h>
#include <tchar.h>
#include <process.h>
using namespace std;

//イベントハンドル
HANDLE hEvent; 

//メッセージを保持するクラス
class Message
{
private:
    string msg;
public:
    Message() : msg( "" ) {};
    void set_Message( string msg ) { this->msg = msg; };
    string get_Message() const { return this->msg; }
}msg;

//指定されたメッセージをコンソールへ出力し続ける関数
unsigned __stdcall MessageOutput( void* ) 
{
    while( - 1 ) {

        //データが初期化されるまで待つ
        DWORD result = WaitForSingleObject( hEvent, INFINITE );

        //エラーがあれば表示
        if ( result == WAIT_FAILED ) { 
            DWORD error = GetLastError();
            LPVOID title = _T( "エラー" );
            LPVOID msg;
            FormatMessage( FORMAT_MESSAGE_ALLOCATE_BUFFER |
                    FORMAT_MESSAGE_FROM_SYSTEM |
                    FORMAT_MESSAGE_IGNORE_INSERTS,
                __nullptr,
                error,
                MAKELANGID( LANG_NEUTRAL, SUBLANG_DEFAULT ), 
                reinterpret_cast< LPTSTR >( &msg ),
                0,
                __nullptr
            );
            MessageBox( __nullptr, 
                reinterpret_cast< LPCTSTR >( msg ) , 
                reinterpret_cast< LPCTSTR >( title ), 
                MB_OK | MB_ICONERROR );
            LocalFree( msg );
            return -1;
        } 
        
        //データを出力
        cout << msg.get_Message() << " ";

        //出力スピードを遅くする
        Sleep( 50 );
    }
    return 0;
}

//イベントを使用して出力処理を制御する
int _tmain( int, _TCHAR* )
{
    //CreateEventの場合
    /*hEvent = CreateEvent( 
        __nullptr, 
        TRUE, 
        FALSE,
        _T("piyo") );*/

    //CreateEventExの場合
    hEvent = CreateEventEx( 
        0, 
        _T("piyo"), 
        CREATE_EVENT_MANUAL_RESET, 
        EVENT_MODIFY_STATE | SYNCHRONIZE  );

    //スレッドを作成
    HANDLE hThread = reinterpret_cast< HANDLE >( 
        _beginthreadex (
            __nullptr,
            0U,
            MessageOutput,
            __nullptr,
            0, 
            __nullptr ) );

    //データを準備する
    msg.set_Message( "Hello,Event!" );

    //準備が終了した事を知らせる
    SetEvent( hEvent ); 
    
    //何かの処理をしている・・・
    Sleep( 1000 ); 

    //また準備する・・・
    ResetEvent( hEvent ); 
    cout << endl << endl 
        << "メッセージを変更中・・・" 
        << endl << endl;
    Sleep( 1000 );
    msg.set_Message( "ピヨ" );
    SetEvent( hEvent );

    //また何かの処理をしている・・・
    Sleep( 1000 ); 

    //出力を終える
    ResetEvent( hEvent ); 
    cout << endl << endl 
        << "ピヨはもういい。" 
        << endl << endl;

    //後片付け
    CloseHandle( hEvent );
    CloseHandle( hThread ); 

    return 0;
}

ちょっと長いですが、やっている事は非常に単純です。新しいスレッドを作成し、そのスレッドに文字列を表示させ続けているだけです。なお、文字列は共有リソースが保持しています。
 詳しい説明は次回します。続く...
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ジャンル : コンピュータ

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Author:インドリ
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色々な情報処理技術を啄ばむから楽しみにしてね。

http://twitter.com/indori
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