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システム導入/IT化はなぜ失敗するのか?

 システム導入の失敗は後を絶ちません。コンサルタントにこれからはITの時代だと言われ、自社にシステムを導入したものの、成果が上がっていないといった会社が多々見受けられます。システム屋の私はそういった事をよく見聞きします。そこで今回は、システム導入/IT化失敗という名の不幸を減らすべく、その原因と対処法を書きます。
 システム導入もしくは業務のIT化を目指している会社が望む事は自社の業務効率をよくし、業務コストを下げるのと同時に今まで以上の利益を上げる事です。一言で済む話しです。システム屋はコンサルタント業務も兼ねているので、クライアントに会う機会が多く、よく次の様に様に言われます。「とにかく我が社の業績を上げてほしい」と・・・
 この第一声から双方にとっての不幸が始ります。この言葉は、クライアントにとっては言うまでもない当たり前の事です。メリットがないものを誰が買うのでしょうか?しかし、情報サービスを提供する側にとっては悪魔の言葉です。何故ならば、具体的な事が何も分からないからです。
 情報システムの構築は情報機器を用いて行われます。パソコンや携帯電話などの情報機器は魔法の道具のように思われがちですが、情報機器は所詮ただの機械です。人間が望む事を察して柔軟に動いてくれません。ですから、システムを構築する技術者は細かい事柄を知らねばなりません。ITは魔法ではなく、理論で成り立つ技術体系なのです。
 この様に説明するとクライアントは、ならば受注するシステム会社の人間が融通してくれればいいと思うでしょう。しかしこれもまた困難です。何故ならば、システム会社はITのプロであって、クライアントの業務については素人なのです。システムインテグレーター(SI)といった会社が「うちは流通に関してならば精通している」などというかもしれません。しかしながら、それでもプロにはかないません。そもそも、本当にその業務のプロであるクライアントの会社を上回る実力を持つのであれば、SIをせずにその業界のトップ企業になるはずです。
 そういった事から、システム導入に当たって複数の会社に見積もりを依頼し、一番安い価格を提示した会社に依頼するクライアントも多いです。しかしそれでもシステム導入/IT化は失敗します。その原因は、システムは安ければよいというものはなく、高ければよいというものでもないからです。重要なのはクライアントの役に立つシステムが構築できるか否かです。
 その本質を無視するからシステム導入/IT化は失敗するのです。日本のビジネス習慣である良きに計らえが失敗のもとだと言えるでしょう。システムを提供する側もクライアント側も自社の利益を考えて行動しています。どちらも「自社にとって良きに計らう」ので失敗するのです。
 この悲劇を防ぐには中立かつ情報処理に詳しい人に依頼するのが一番です。そうすれば、クライアントが情報処理技術を知らない事により被る不利益を防ぎ、適切なシステムを導入する事が可能となります。また、システムを構築する側にとってもトラブルを防ぐという利点があります。この役割をシステムインテグレータ会社やコンサルティング会社に依頼するケースもあります。しかしながら、現状ではお勧めできません。何故ならば、会社に依頼すると支払う仲介料金が高くなりますし、そのシステムインテグレータ会社やコンサルティング会社の実力が分からないからです。システムインテグレータもしくはコンサルティング=実力がある事を意味していません。優秀な会社も存在するようですが、いい加減な会社も沢山存在します。日本人は看板の大きさだけでそれを判断する傾向がありますが、看板の大きさと実力が正比例しているとは限りません。それを見分ける人材が結局必要となります。始めから詳しい人に依頼しましょう。
 システムを導入/IT化をする時は、必ず情報処理技術に精通している人に依頼しましょう。そうすれば、失敗する確率は激減しますし、不要なものを売りつけられる可能性が減り費用が減ります。日本の古き良き商慣習である「良きに計らえ」はもう通用しません。利害関係を見極めて適切な行動をしましょう。
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テーマ : 情報処理技術
ジャンル : コンピュータ

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