実践的オブジェクト指向分析入門34
事象の発見において重要な要素の内の1つがインタフェースです。ここでいうインタフェースとは、既存システムの画面や帳票などを含む広義の意味で使用しています。
interfaceという英単語は、2つの物体や空間の面の境界面・接触面を表し、システムや組織体が接して交信・交流する共通領域や、境界領域間を結ぶ手段も表しています。この意味をオブジェクト指向分析に当てはめて考えると、部門間や組織間でやり取りするデータおよび手段を分析する事になります。
システム構築でよくある失敗の内の一つが、他部門・関連会社・顧客の接点を考慮しない事です。例えば、販売管理システムを受注した際に販売管理だけを考えてしまうと、会計データの扱いが疎かになり使えないシステムになります。
また、今日のビジネスは顧客との関係が重要視されています。システムを導入するお客様が提供している商品やサービスを買う消費者の事まで考えないと、役に立たないシステムの烙印を押されてしまいます。すなわち、オブジェクト指向分析は広い意味のシステムのインタフェースが大事なのです。
それとは別の問題で、企業が持つデータとオブジェクトを分析するために、帳票や既存システムのインタフェースを分析する事も大切な作業です。システム分析は基本的にビジネスプロセスを対象としますが、それだけでは見落としが生じます。何故ならば、日本は特に暗黙の了解や慣習が多いからです。それが原因で、ビジネスプロセスからは見えにくいオブジェクトがよくあります。
オブジェクト指向分析では、事象とオブジェクトの見落としがないように多面的な分析をしましょう。