アジャイル開発を元に考えるプロジェクトマネージャのあり方21
プロジェクトが始まると、様々な情報が飛び交います。プロジェクトで発生した情報をコントロールし、適切な人に情報を提供するのもまたプロジェクトマネージャの仕事です。情報の管理をおざなりにすると、開発メンバーや利害関係者に余計な負担を掛け、情報の誤差がデスマーチを呼びます。分かり難いと思いますので、具体例を挙げつつ詳しく説明します。
仕様の変更はほぼ必ず発生します。よほど単純なプロジェクトでない限り、あらかじめ全ての情報を完備し、仕様を完璧にする事は不可能です。仕様の変更に伴い、開発メンバーにその事を伝える必要があります。この際に情報の管理をしないと、仕様の変更を知っているメンバーと、仕様の変更を知らないメンバーとの情報格差が生まれ、その差がシステムにバグを発生させます。
仕様変更はそれほど頻繁に起こらないと、考える人もいるでしょう。しかしながら、オブジェクトの変更と言った些細な変化も日々発生します。そうした比較的小さな情報の変化でも積み重なると、プロジェクトを混乱させます。
情報を必要とするのは開発メンバーだけではありません。利害関係者も情報を必要としています。責任者はそのプロジェクトの進歩度や、現在起っている課題/問題に興味がありますし、お客様は自分の要求が正しく解釈されているのかを気にします。開発が終わってから、お客様の要望と違うシステムだと分かっても手遅れです。
アジャイル開発では、プロジェクトに関する情報の管理もカバーしています。開発メンバー間の情報を共有するための「共同所有」、お客様と開発メンバーの情報を共有するための「オンサイトのユーザ」がありますし、アジャイル開発の一種スクラム開発では情報のコントロールも行う役割「プロダクトオーナー」が設定されています。
プロジェクトは情報が命です。プロジェクトマネージャは情報を管理し、開発メンバーと利害関係者を満足させなければなりません。大変な仕事ですが成功すれば、内外ともに評価の高いマネージャになれます。