アジャイル開発を元に考えるプロジェクトマネージャのあり方22
今回までの解説で、従来型のウォーターフォール開発モデルで培われた「管理のための管理」をするプロジェクトマネージャは、変化が早い現代に合わない事が分かって頂けると思います。今求められているのは、変化に対して臨機応変に対処できる誰からも頼られる人です。
変化に対し柔軟かつ迅速に対処するには、物事を厳密にコントロールしようとする管理ではなく、変化を前提とした誘導型管理をする必要があります。開発メンバーを統治するべき部下として捉えるのではなく、プロジェクト成功を共に目指す仲間として捉えます。開発メンバーを統制するのではなく、成功へと導くために「もの」、「情報」、「金」、「時間」を有効に使います。
もちろん、プロジェクトマネージャは開発メンバーにだけを見ていればいいという事はありません。自社はもちろんのこと、関連会社の利害関係者の事を考えなくてはなりません。そしてなによりも、お客様の事を第一に考えなくてはなりません。
たまにお客様の事を考えない開発者がいますが、お客様の事を考えないで開発したシステムは役に立ちません。プロジェクトマネージャは、お客様にとって実際に使えるシステムなのかをよく考え、開発メンバーが間違った方向へ進まないようにしなくてはなりません。
従来のプロジェクトマネージャは、「部下を統率する上司」といった色が強く出ていました。変化が遅い時代では、そういったプロジェクトマネージャでも結果を残す事が出来ました。しかしながら、現代は変化が早く、あらかじめ全てを正確に予測し、物事を制御できません。従って、統制ではなく常に誘導をし続けなくてはプロジェクトは失敗します。
アジャイル開発を採用するかどうかは、会社の体質に関する難しい問題だと思います。しかしながら、求められているプロジェクトマネージャ像は変わりません。この連載を読んで少しでも多くの人が、新しいプロジェクトマネージャ像について考えて頂ければ幸いです。