実践的オブジェクト指向設計入門5
システムは必ずデータを取り扱います。従ってシステム設計では、どの様にデータを扱うのかを決定しなくてはなりません。データの「扱い」については色々ありますが、オブジェクト指向方法論OMTでは、インタフェースを定義し、サブシステム間の分割点をはっきりさせる目的でデータストアの管理について検討します。
オブジェクト指向方法論OMTでのデータストアとは、メモリか2次記憶装置に実装されたデータ構造、ファイル、データベースの組み合わせです。これらの組み合わせには、コスト、アクセス時間、容量、信頼性など様々なトレードオフが存在します。それらトレードオフを考慮しつつ、システムのデータストアを決定します。
オブジェクト指向方法論OMTではこれぐらいの扱いしかありませんが、実務ではシステムに如何なるトランザクションがあるのかを明確化し、それらのACIDを保証するのかを決定しなくてはなりません。また、セキュリティ対策、データの管理方法、バックアップ体制・・・など検討するべき事は山ほどあります。
システムに於いてデータは非常に重要です。オブジェクト指向方法論OMTではあまり言及されていませんが、データをシステムのインタフェースとして考えるのはもちろんの事、様々な角度からデータの取り扱いについて考え抜かねばなりません。データについての様々な検討事項は、ネットワークの構成にも影響を与える事に注意が必要です。
業務系のシステムに必要とされるデータ量は増え続けており、データベースサーバーで管理するのが普通になっております。そのサーバーを如何に管理するのかは、ネットワークしいてはハードウェアの構成に関わってくる事項です。システムの成否は、データの取り扱いで決まると言っても過言ではありません。データストアの決定は、広い視野を持ち漏れがないように行いましょう。