実践的オブジェクト指向設計入門8
システムの設計にはトレードオフがつきものです。例えば、メモリなどのハードウェアにお金をかければ、より速いシステムが出来上がりますが、その分費用が高くつきます。他にも、冗長な構造にして耐久性を高める、セキュリティレベルを上げる、信頼性を高くする・・・など色々な場面で設計者は選択をしなくてはなりません。
それらの選択を基準もなしに個別に考え決定してしまうと、偶然の産物が出来上がってしまいます。従って、何らかの基準が必要となります。オブジェクト指向方法論OMTは、その選択基準としてトレードオフの優先順位の設定を挙げています。
トレードオフ優先順の決定とは、1・移植性、2・効率性・・・というふうに優先順位を設定するものです。この優先順位は、「効率性の優先順位は全体の32.2%」という具合に厳密に数値化するものではなく、ある種漫然としたものですが、大変有効なものです。具体的には、複数の設計者が議論する時間を減らせますし、特定の設計者に対する依存度が減ります。他にも色々な利点があります。
地味な作業ですが、集団作業ではこういった作業が明暗を分けます。