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実践的オブジェクト指向設計入門17

 この記事は、実践的オブジェクト指向設計入門16の続きです。前回は、設計の最適化について解説しました。引き続き設計の最適化について解説します。
 オブジェクト指向方法論OMTの「効率的なアクセスのために冗長な関連を追加する」とは、複雑な操作の再計算を避けるために、派生属性を保存することだとされています。分析中に冗長な関連は望ましくありません。しかしながら、実装するという観点から見れば、システムの効率が上がる場合もありうるので、冗長な情報を付加するのが望ましい事もあります。
 例えば、データベースに於いてテーブルは基本的に第3まで正規化します。しかし常に第3正規形にしておくと、頻繁に検索されるパターンによっては、逆に効率が悪い場合があります。その様な状況では、第3正規形をあえて崩して、頻繁に検索される列を追加して冗長にする事により、結合コストを低くするとよい場合もあります。ただし、冗長化すると更新コストが上がるので、慎重にせねばなりません。なお、この作業項目は、インデックスの検討も含まれています。
 次に「効率化のための実行順序の再調整」があります。アルゴリズムは、計算手順を変える事により処理効率が上がる場合があります。オブジェクト指向分析では論理的な順序が導き出されますが、実装の観点から言って最適な順序だと限りません。時には実行を変える柔軟な思考が求められています。
 最後に「派生属性の保存による再計算の回避」です。これは、他のデータから派生させることができる冗長なデータを再計算するオーバーヘッドを避けるために、一旦計算した値のままキャッシュしたり保存したりする事です。「効率的なアクセスのために冗長な関連を追加する」と似ていますが、この項目はインデックス等についてであり、派生属性の保存による再計算の回避はキャッシュの事を指しています。ネットワークの設計でよくみられる現象ですが、オブジェクトを使われる場所の近くにコピーしておくと、遠隔地に一々データを取りに行く手間が省けます。これはあらゆるオブジェクトに言える事です。そのよい例がADO.NETのオブジェクトモデルです。
 ADO.NETを使用すると、メモリ内にデータをコピーしておく事が出来ます。これは処理効率を大きく上げます。何故ならば、遠隔地にアクセスしてデータを受信するスピードよりも、メモリからデータを取得する方が圧倒的に速いからです。適切なデータを取得しておけば、パフォーマンスは大幅にアップします。
 こうした事例はシステム開発では頻繁にあります。あらゆる場所にキャッシュがある事からその事実がそれを裏付けています。ハードディスク・CPU・主記憶・・・・それら全てにキャッシュが存在します。しかしながら、キャッシュは更新に関するデメリットがある事を忘れてはなりません。DNSのキャッシュにより、名前解決に関するトラブルを経験した人も多いでしょう。
 前回も言いましたが、最適化にはデメリットがあり、早すぎる最適化は毒となります。十分に注意して下さい。最後に注意するべき点について述べます。オブジェクト指向方法論OMTがいう計算とは、コンピューターの処理全般を指しています。数値処理だけの話題ではないので注意して下さい。
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