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VBオブジェクト指向プログラミング講座 第6回 手続き、関数、メソッドの違いを知る

 この記事は「第5回 インスタンスを見る」の続きです。前回は、インスタンスについて解説しました。今回は、メソッドについて解説します。
 オブジェクト指向プログラミングの基本要素はメソッドです。でも、メソッドを本当に理解していますか?経験者の中にも、理解していない人が結構いるようです。そんなメソッドについてちょっとだけ詳しく学びましょう。
 手続き(プロシージャ)、関数(ファンクション)、操作(メソッド)の違いは、プログラムとして可視化すると分かります。

Structure Point
    'フィールド
    Public X As Integer
    Public Y As Integer

    '関数で使用するコンストラクタ
    Public Sub New(ByVal x As Integer, ByVal y As Integer)
        Me.X = x
        Me.Y = y
    End Sub

    '内容を表示
    Public Sub Print()
        Console.WriteLine("X = {0}, Y = {1}", Me.X, Me.Y)
    End Sub
End Structure

Module Module1
    '加算手続き
    Sub AddSub(
    ByRef p As Point, ByVal x As Integer, ByVal y As Integer)
        p.X += x
        p.Y += y
    End Sub

    '加算関数
    Function AddFunc(
    ByVal p As Point, ByVal x As Integer, ByVal y As Integer)
     As Point
        Dim result As New Point(p.X + x, p.Y + y)
        Return result
    End Function

    Sub Main()
        '手続きは処理順序に依存
        Dim a As New Point()
        Console.WriteLine("処理前の値")
        a.Print()
        AddSub(a, 10, 10)
        Console.WriteLine("処理後の値")
        a.Print()
        Console.WriteLine()

        '関数は処理順序に依存しない
        Dim b As New Point()
        Console.WriteLine("処理前の値")
        b.Print()
        Dim c As Point = AddFunc(b, 10, 10)
        Console.WriteLine("処理後の値")
        b.Print() '値が変わらない
        Console.WriteLine("新しい値")
        c.Print()

        Console.ReadLine()
    End Sub

End Module

プログラムを見ると、手続き、関数、メソッドに明確な違いがある事が分かると思います。これから個別に解説します。
 手続き(プロシージャ)は、引数として渡されたデータ構造の値を変える閉じた操作です。「閉じている」とは、環境に変化を与える操作の事を指しています。手続きを呼び出すと、プログラムの環境(データ構造など)に変化がもたらされます。従って、手続きの処理結果は、処理する順番に依存します。サンプルを例に取り具体的に書くと、Printメソッドの結果はAddSubプロシージャの呼び出し有無で変化しています。
 関数(ファンクション)は、処理結果を返す開いた操作です。「開いている」は、「閉じている」の反対で、プログラムの環境に影響を与えません。余計な事をしない限り、どこで呼び出しても処理結果は変わりません。従って、関数は処理の実行順序に依存しません。
 メソッド(操作)は、オブジェクトが持つ手続もしくは関数です。サンプルで確認できるように、Printメソッドは引数としてPointオブジェクトのインスタンスを受け取りません。オブジェクトが持つとは、この事を表現しています。
 細かい事を言えば他にも色々ありますが、ひとまず今回解説した分だけ押えておきましょう。違いを分かっていれば、オブジェクト設計にそって上手に実装できます。ちなみに私のお勧めは、関数の方のメソッドを多用するスタイルです。並列プログラミングが一般となった今、処理結果が実行順序に依存するのは問題です。また、処理順序に依存しない方が、プログラムを単独で扱えるのでテストがやりやすいです。ただし、関数を多用するスタイルは、インスタンスを大量に発生させるので注意が必要です。
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テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

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