中の人の徒然草420 人間と科学/技術の進化について
私は常日頃、情報技術について考えています。情報技術は自然の中にあります。月を見て何かを思いついた事もあります。山や空をふと見たり、風を浴びたりしていると色々な発想が湧きでます。これから述べる事はそのうちの一つです。
人間は五感を拡張する方向で、科学と技術を発展させてきました。これからは、語幹を拡張するだけではなく、新しい感覚を創造する段階にきていると思います。五感だけではこの広大な世界の真理が解明できません。例えば、光よりも速いニュートリノの様なものは、五感で考えてもどうにもならないと思います。人間は五感で物事を考える性質がありますが、人間と言う狭い範囲内でしか発展が望めません。
そこで情報技術の出番です。五感以外のものを考えるとき、情報技術が必要不可欠になります。何故ならば、感覚とは情報の受信以外のなにものでもないからです。ならば、自分が持っている情報を受信する機能に縛られる必然性などありません。どの様な情報を受信して分析したいのか、それを考えて五感以外のものを作り上げればよいのです。いわば感覚の抽象化です。
感覚の抽象化を実行し、受信した情報は脳で処理するかありません。それは専門分野のコラボレーションとなるでしょう。情報技術でモデル化し、数式で表し、科学で人間の都合がよいようにまとめあげ、倫理を哲学や宗教で考え・・・それら専門家のオーケストラがますます必要となります。この音楽団の発生源は情報技術となるでしょう。人間は全く存在しない情報を作り上げられません。というよりも、対象物を観測した結果でないと意味がありません。
もうひとつ、社会制度についても情報技術が活躍します。現在政治や行政は情報技術で考えられていません。それ故、無駄や非効率的な出来事が多いのです。政治家は国民の意見を聞いていると言いますが、実際は選挙の時しか民意を反映できません。しかも不完全です。政治家は次の選挙まで国民の意見を聞かなくても報酬が得られます。おまけに、選挙時に嘘をついても支障が無いのですから、民意と政治家の仕事は全く関係がありません。
行政もまた、官僚の都合により運用されています。国家や国民よりも官僚の利権で動いている事は誰しも知っているでしょう。しかし、日本の国民は自分で考えず、全て誰かがやってくれるものして、お上任せにしているから愚痴る事しか出来ません。その証拠にニュースを見ていると、出演者の「政治家がやってくれない」という愚痴と、「政治家がやってくれ」という願望しか述べていません。そこには、主権者である国民が考えると言う視点がありません。
誤解されがちですが、私は政治家と官僚を忌避していません。何故ならば、お上任せすればそうなるのは当然だからです。貴方が考えて下さいという言葉は、考える人の利益が先に考えられる事を意味しています。任しているのですから、その人達の都合で動くのは当たり前です。国家システムについて考えた国民が何人いるでしょうか?主権者が考えないのであれば、国家システムが破綻するのは当然です。
この日本の末期症状と情報技術の関係性は大いにあります。国家システムをどうするのかと言う問題は、情報技術しかないでしょう。国家システム全体を合理的に考えるには、国家を流れる情報をどの様にするのかと等価です。システムの不備があれば、そのう情報が即座つに届けられ、責任者がエラーを直す。経済の正確な情報を把握し、経済を正常化する。そういった事は、正しく情報技術の領分です。
日本ではなぜか、情報技術者の事を相場師と勘違いしています。おそらく、ライブドア事件がきっかけでしょう。情報技術はそういった胡散臭いものではありません。社会のインフラを支え、社会問題を解決するためのツールです。そういった視点が欠けているから、国家システムの崩壊に対して有効打を打てないのでしょう。
おもえば日本は正確な情報源を持ちません。マスメディアが歪んでいるのは揺るぎない事実です。しかし、スポンサーがついている以上、そのフィルターを通して情報が発信されるのは当たり前です。先ずは正確な情報源を持つために、日本人は情報機関に投資するべきです。国民の寄付で運営された情報機関が、如何なる情報を発信するのか非常に興味深いです。おそらく、誰もが知りたくなかった、酷い情報が大量に発信されるでしょう。その時、いつものようにお上任せにして現実逃避するのか、自分たちで解決方法を考えるのか、最終的にはそこが問題となります。
今、尖閣諸島と竹島の問題がクローズアップされていますが、結局国民がどうしたいのか、どんな痛みを受け入れるのかを考えていないと思います。現実を直視する勇気が無いので、日本は崩壊しつつあるのでしょう。政治家が駄目だ、官僚が駄目だ、あれが駄目だと愚痴るのではなく、自分たち国民がどうするのかを考えないと日本は崩壊します。選挙システムが駄目だから何もできないのではなく、お上任せして自分の頭で考えないのが根本的原因です。それを忘れてはなりません。