情報集合論(仮名) 基本定義
ということは、情報以外という定義もあり得ることになります。この点については、人間の能力は有限であり、常に人間が理解できないものは存在すると考えたほうが自然なので、解釈の余地を残しています。ただ人間が認識できないということは、記号すら考えられず、考えるという行為すら思いつかない対象なので、どう扱っていいのかについては範囲外です。
ではどうやって、情報以外という定義を有効利用するのかといいますと、新しい情報が見いだされたときに使用します。以前は情報ではなかった(人間が知らなかった)が、今は認識できたのでこれからは情報とみなすというふうに、情報の履歴を表現するために使用します。
情報の基本原理は、判定(フィルター)と変換です。情報として認識したということは、その情報だと区別する何らかの判断材料があるはずです。なければそもそも認識できていないので考える行為すらできません。判定もしくは区別できる情報は、その情報だとみなしてもよいので、自然と変換も伴います。従って、判定と変換はセットだとみなせます。もちろんこの定義には実用的な観点もあります。プログラミングを例にとると、数値オブジェクトだとわかっているのにもかかわらず、常にobject型のオブジェクトとして処理するのは無駄です。また、人間の思考能力は有限なので、すでに分かっている部分については省略して考える必要があります。すなわち、情報を細切れにして人間が考えられる粒度に落とし込むための取決めなのです。
情報は常に流動的である点にも注意が必要です。日々新しい情報が生み出されていることを考慮すると、静的な公理などを作る時点で間違いだといえます。従って、全ての情報には親(前提)が必要です。親(前提)がない情報は、最小粒度の情報もしくは、前提を考慮しない情報です。
情報集合論プログラミングをするときは、ある程度性質がわかった情報は型としてみなし、処理を短縮化することを検討します。この時の型とは、群・環・体のような抽象型や、幾何学的なもの、位相空間、などといったものとイメージが近いです。型とは人間のパターン認識処理そのものなのです。
最後に忘れてならないのは、情報は必ず名前を持つことです。情報を特定できない状態では分析できません。命名できるまで情報の粒度を操作しながら分析する必要があります。命名の大切さはよく知られています。名前は忘れてはならない重要な定義です。