fc2ブログ

VBオブジェクト指向プログラミング講座 第17回 継承の種類を知ろう

 この記事は、第16回 継承の背景を知ろうの続きです。前回は、継承の概要を解説しました。今回は、継承の種類について解説します。
 継承といっても色々な意味があり、大別すると2種類存在します。インタフェース(メソッドの名前・戻り値の型・パラメーター)を継承(再利用)するのか、メソッド内のプログラムを継承(再利用)するのか、それにより継承の意味合いが異なります。VBプログラミングでは、インタフェースを実装するのか、親クラスを指定するのかで対応します。
 初心者の方は、この2つの継承はほとんど同じだと感じるでしょう。しかし、意味合いが全く異なります。どちらを使うのかによって、設計レベルで違いが生じます。ですから、同じプログラムを書くのは面倒だから、元からあるクラスを継承しようなどといった感覚で使用すると痛い目にあいます。継承を使用する際には、2つの継承を正しく意味を理解し、設計レベルで熟慮せねばなりません。
 インタフェースの継承(実装)は、同じ使い方ができる事を意味します。例えば、2つの整数を引数として受け取り実数を返す演算メソッドは、2つの整数を渡せば何らかの実数値を返すことを意味しています。他には、2つの座標を受け取り何も値を返さないMoveメソッドなどがありえます。
 実装の継承は、期待された振る舞いを行う事を意味します。意味はインタフェースの継承よりも難しく、親オブジェクトに期待されている事を実現することを意味します。この継承については、ある程度実務経験がないとわからないと思います。インタフェースの継承との違いは、より強くオブジェクトの定義にしたがう点にあります。
 インタフェース継承の場合は、メソッドレベルで求められていることをすれば済みます。しかしながら、実装の継承は、親オブジェクトが求められている条件を満たさないと矛盾が生じます。厄介なことに、VBコンパイラは人間が考えていることはわかりません。ですから、親オブジェクトの仕様と全く違う事をしてもエラーになりません。プログラマーがオブジェクトの仕様をよく考えて、実装の継承を行う必要があります。
 具体例を挙げると、子オブジェクトが親オブジェクトのメソッドをオーバーライドしたい場合、いくつかの事を考えねばなりません。親メソッドを内部で呼ぶべきでしょうか?呼ぶにしても、子オブジェクトが先に処理をするのでしょうか?親オブジェクトの処理を先にするのでしょうか?そういったカプセル化に反した判断をせねばなりません。
 今までの説明を読んで、「面倒なことを考えたくないからインタフェースの継承だけを使用する」と思った人が居るかもしれません。しかし話はそれほど単純ではありません。実装の継承は面倒な分、正しく設計した時の効果が非常に高くなります。何故ならば、同じようなプログラムを書く必要がなくなるので、生産性が高くなるからです。
 どちらの継承をするにしても、設計レベルで熟慮する必要があります。
スポンサーサイト



テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

インドリ

Author:インドリ
みなさん、はじめまして、
コンニチハ。

ボクは、無限の夢(infinity dream)を持つネタ好きな虹色の鳥インドリ(in dre)です。
色々な情報処理技術を啄ばむから楽しみにしてね。

http://twitter.com/indori
は別人による嫌がらせ行為です。
私とは関係ないので注意して下さい。
次はなりすましブログなどをするかもしれませんが、ここ以外でブログをするつもりがないので、ここ以外にインドリのブログがあったとしても無視してください。


何度言っても分からない人がいるので、ここにコメント欄へ書き込むときの注意事項を書きます。


一、社会人としてのマナーをわきまえましょう。
一、妄想に基づく書き込みを止めてください。
一、暴言の類は書かないで下さい。
一、某誹謗中傷サイトの書き込みは彼らの妄想に基づく書き込みですから無視して、ここへ書き込まないで下さい。
一、コメント書く前に他のコメントよく読んでから行って下さい。
一、言いがかかり等の行為を禁止します。
一、その他常識的に考えて迷惑なコメントはしないで下さい。


以上のルールを守れない人のコメントは削除します。



利用上の注意
ここに紹介してある文章およびプログラムコードは正確であるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。当サイトの内容によって生じた損害については、一切の責任を負いませんので御了承ください。


執筆したCodeZineの記事


【VB.NETで仮想CPUを作ろう】

  1. VB.NETで仮想CPUを作ろう
  2. レジスタの実装
  3. 仮想CPUのGUI化
  4. テストドライバの改良
  5. CPUの基礎動作の実装
  6. MOV命令の実装
  7. ADD命令実装
  8. SUB命令実装
  9. INC命令&DEC命令の実装と命令長
  10. MLU命令の実装とModR/Mについて
  11. DIV命令の実装とイベント設計について
  12. 機械語駆動式 関数電卓を作ろう!
  13. 機械語駆動式 関数電卓を作ろう! 解答編(前半)
  14. 機械語駆動式 関数電卓を作ろう! 解答編(後半)


【仮想ネットワーク実装でTCP/IPを学ぼう】
  1. TCP/IPの基礎と勘所
  2. ネットワークアクセス層の勘所
  3. インターネット層の勘所
  4. トランスポート層の勘所
  5. アプリケーション層の勘所
  6. セキュリティの基礎と仮想ネットワークの仕様
  7. GDI+と独自プロトコルの定義



【並列化】
インテル Parallel Studioを使って並列化プログラミングを試してみた
並列プログラミングの効率的なデバッグを実現する「Parallel Inspector」


【TBBシリーズ】
  1. インテル スレッディング・ビルディング・ブロックの概要
  2. インテルTBBから学ぶループの並列化
  3. スレッドセーフとインテルTBBのコンテナ
  4. インテルTBBのスレッドクラス


【OpenMPシリーズ】
  1. OpenMPの基礎構文
  2. OpenMPの実行時ライブラリと並列ループ
  3. OpenMPのメモリモデルとfork- joinモデル

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カテゴリ
Ada (9)
COBOL (5)
C (9)
C++ (11)
C# (370)
D (25)
Java (8)
Perl (1)
Ruby (14)
PHP (2)
Boo (2)
Cobra (2)
LISP (6)
F# (33)
HTML (0)
XHTML (0)
CSS (0)
XML (0)
XSLT (0)
Scala (4)
WPF (0)
WF (2)
WCF (0)
LINQ (4)
MONO (5)
Linux (0)
MySQL (0)
ブログ内検索
リンク
最近のトラックバック
RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
FC2カウンター