情報集合論(仮名) 集合演算を考える
一番簡単な和集合演算から考えます。和集合は任意の数の集合を合成します。和集合演算の効果は単純なのですが、そのまま聞き流してはなりません。何事にも前提というものがあります。前提を考えると、和集合は合成する集合が正しく、論理空間が必要です。論理空間がなければ、集合の等価性が定義できません。等価性が定義できなければ、演算の結果そのものが検証できませんので、等価性は非常に重要な条件です。また、論理空間がなければ、和集合の否定演算が定義できませんので、やはり和集合を包含する全体集合である論理空間が必要です。
和集合が満たすべき条件は積集合演算も同じです。やはり、演算に参加する集合が正しく、論理空間がなければ演算が実行できません。差集合演算も同様です。ということは、べき集合演算にも論理空間が必要だとの考えに至ります。ただし、べき演算の結果を考慮すると、和集合と同じ論理空間だとは思えません。具体例をもとに、その点をよく考えねばなりません。
X = { a, b, c }ならば、冪集合P(X)は{ φ, { a }, { b }, { c }, { a,b }, { a,c }, { b,c }, { a,b,c} }となります。冪集合P(X)に{ a,b,c }が含まれている点に注目します。この新しい集合の論理空間はなんでしょうか?素直に考えるのであれば、演算対象となる集合を含む集合ということになります。従って、べき集合演算は、論理空間となる全体集合を変える性質を持つ演算と言えると思います。冪集合の濃度は2の要素数乗ですから、この考察結果は正しいと思われます。