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VBオブジェクト指向プログラミング講座 第18回 実装の継承はカプセル化を破壊する

 この記事は、「第17回 継承の種類を知ろう」の続きです。前回は、継承には、インタフェースの実装と実装の継承の2種類があることを解説しました。今回は、実装の継承のデメリットについて解説します。
 実装の継承は素晴らしいものです。同じプログラムを何度も再利用できるので、生産性は飛躍的にアップします。実装の継承を知ったら、あらゆる場面でそれを使いたくなるでしょう。しかし、便利なものには必ず裏があります。こんな簡単なサンプルにも罠があります...

Imports System

Class Foo
    Public Overridable Sub Print(ByVal message As String)
        Console.Write(message)
    End Sub
End Class
Class PiyoFoo : Inherits Foo
    Public Overrides Sub Print(ByVal message As String)
        MyBase.Print(message)
        Console.WriteLine("ピヨ♪")
    End Sub
End Class

Module Sample

    Sub Main()
        Dim fp As New PiyoFoo()
        fp.Print("サンプル")
        Console.ReadLine()
    End Sub

End Module

あまりにサンプルが簡単すぎて、危険に気付かないかもしれませんが、すでに危険の兆候があります。それは、オブジェクト指向の原則を崩す大変危険なものです。
 サンプルプログラムをよく見てください。メソッドをオーバーライドし、メソッド内部でMyBaseを使っていますが、MyBaseはどこで使うのが正しいのでしょうか?それを知るためには、親のメソッドのソースコードを読むのが一番です。しかしながら、この行為はカプセル化の原則に反しています。
 オブジェクト指向プログラミングのメリットは、詳細を知らずとも再利用できる事でした。これがカプセル化の原則です。しかし、サンプルプログラムで示したように、オーバーライドする際に、親に関する詳細な知識が必要となる可能性があります。すなわち、実装の継承はカプセル化の原則を破壊する恐れがあるのです。
 かといって、実装の継承を無暗に避けるのも考え物です。何故ならば、オブジェクト指向プログラミングの恩恵を放棄することになるからです。前時代のプログラミングに帰ってしまいます。ではどうすればいいのかというと、危険を理解して頭を使えば問題は解決します。
 実装の継承の危険性は、親オブジェクトの実装詳細を知る必要があるというものです。ならば、オブジェクトの仕様書を作り、子オブジェクトを実装する人がやるべきことを示せばよいのです。そうすれば、親オブジェクトの実装を調べる必要がなくなります。

Imports System

''' <summary>
''' サンプル用の何らかのオブジェクトです。
''' </summary>
''' <remarks></remarks>
Class Foo

    ''' <summary>
    ''' 指定した文字列をコンソール画面へ出力します。
    ''' </summary>
    ''' <param name="message">出力する文字列</param>
    ''' <remarks>
    ''' このメソッドをオーバーライドするときは、
    ''' 最後に親のメソッドを呼び出してください。
    ''' ※改行文字は付加しません。
    ''' </remarks>
    Public Overridable Sub Print(ByVal message As String)
        Console.Write(message)
    End Sub
End Class

''' <summary>
''' 語尾にピヨをつけるオブジェクトです。
''' 意味はありません。
''' </summary>
''' <remarks></remarks>
NotInheritable Class PiyoFoo : Inherits Foo

    ''' <summary>
    ''' 指定した文字列の語尾にピヨをつけ、
    ''' コンソール画面に出力します。
    ''' </summary>
    ''' <param name="message">出力する文字列</param>
    ''' <remarks>注意:改行文字が自動で付きます</remarks>
    Public Overrides Sub Print(ByVal message As String)
        MyBase.Print(message)
        Console.WriteLine("ピヨ♪")
    End Sub
End Class

Module Sample

    Sub Main()
        Dim fp As New PiyoFoo()
        fp.Print("サンプル")
        Console.ReadLine()
    End Sub

End Module

サンプルなので厳密に書いていませんが、伝えたいことはわかると思います。実務ではこんな具合に、何をするオブジェクトなのかと、継承する際の注意点を必ず書きましょう。
 纏めます。実装の継承はカプセル化の原則を破壊する恐れがあるので、注意して扱いましょう。使用する際には、継承を想定するオブジェクトの仕様を書きましょう。継承を想定していないオブジェクトは、NotInheritableを指定し、無暗に実装の継承がされないようにしましょう。実装の継承の危険性を理解し、準備を怠らなければ大きな利益を得ることができます。
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テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

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