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ネタつつき156 - 最小の命令セットについて考えてみた

 私は趣味と実益を兼ねて、仮想計算機を何度か実装しています。その時一つの疑問が浮かびました。それは、計算機に最低限必要な命令は何かという事です。むろん、この話は機械語レベルのものです。
 機械語命令を分類すると、データ転送命令、論演算、算術演算、論理演算、プロセッサ制御命令、ジャンプ、フラグ操作などがあります。このうち絶対に必要なものは何でしょうか?私は最終的に、ビット反転、比較、データ転送の3つだと考えました。これからその理由を書きます。
 普通の人は算術命令の四則演算は必須だと思うでしょう。私も初めはそう思ったのですが、よく分析して、他の手段で再現できる事に気づきました。例えば、加算命令は、インクリメント命令、比較命令、ジャンプ命令、データ転送命令の4つで実装可能です。乗算は加算の繰り返しで実装できますし、引き算と除算も代数的に考えれば、足し算と乗算の逆でよいことがわかります。従って、算術演算は必須の命令ではありません。
 次に気になるのは論理演算だと思います。論理演算は、AND演算とOR演算は他の命令で実装可能か否かが鍵となります。この2つの論理演算をよく分析すると、1ビットを0か1にしています。ですから私は、条件に判定し、ビット反転さえできれば、実装可能だと判断しました。この考えを発展させると、インクリメント演算ですら必要ありません。何故ならば、ビット反転さえできれば実装可能だからです。
 最後にジャンプ命令について考えます。機械語命令もしくはアセンブラに慣れている人が気にするのは、ジャンプ命令だと思います。ジャンプ命令なしでアセンブラプログラミングできないと考える人もいるでしょう。しかしながら、私はこれも他の命令で代用可能だと結論付けました。何故ならば、ジャンプ命令は計算機のプログラムカウンタを変更する命令だとみなせるからです。という事は、データ転送命令でプログラムカウンタに直接値を転送できれば、ジャンプ命令がなくても問題ありません。
 他の命令については比較的高機能なので説明の必要はないと思います。唯一問題となるのは、プロセッサ制御命令だと思います。しかし今回想定しているのは、最小の命令しか持たないプロセッサですから、特別な命令を想定しない方が良いでしょう。そうしないと、最小の機能しか持たない機械という前提を満たせなくなります。
 以上のようにして、機械語命令をもっと小さな機械語命令に置換できないかを考えていった結果、最初に述べた、データ転送命令、比較命令、ビット反転の3つがあればよいとの結論を出しました。データを転送できなければ、明らかに計算機としての仕様を満たせません(一切の入出力ができない)し、機械が0か1なのかも判別できなければ何もできません。ビット反転については、電気信号を変更できなければ、計算機と呼べないでしょうから必須だと思います。おそらく、電気の状態がわからない状態で、機械を操るのは不可能でしょう。1ビットの状態もわからず、操作もできない機械で情報を処理できると私は思えません。
 この結論は私自身も驚きました。私が慣れ親しんでいるIntel製のCPUは仕様が複雑で、OSとかコンパイラなどを実装するとき大変ですし、仮想計算機として再現するのも大変です。その経験から私は、計算機は複雑なものだと考えていました。しかしながら、最小の機械を考えると、複雑に思える計算機も原理は非常に単純だとよくわかりました。
 もしかしたら、計算機に限らずこの世の全ても根源は単純なのかもしれません。赤子の頃から私は、曖昧な概念や難しいも概念を分析するのが好きで、この手の事をよく考えていました。皆様も暇なとき、こうした分析遊びをするとよいと思います。きっと楽しい時間を過ごせます。
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