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計算機の基本原理を味わおう8 - 全ての物事はcmovから出来ている

 この記事は、計算機の基本原理を味わおう7 - CPUの基本動作を実っ装っ!の続きです。前回は、CPUの基本動作を実装しました。今回は、いよいよ、最小計算機のアセンブラプログラミングを行います。
 比較移動命令だけで何ができるのか、疑問に思われる人もいるでしょう。その答えは、「何でもできる」です。あらゆる物事は、機械レベルで見れば、0と1の読み書きだけで実現しているのです。具体例として、not(否定論理演算)の実装を行います。
 not命令があれば、インクリメント演算も実装できます。という事は、あらゆる算術も実現できるという事を意味します。早速やってみましょう。

namespace MiniBitMachine.V1
{
    //比較移動命令。
    public class CompareMove : IEquatable<CompareMove>
    {
        //変更が無いメンバーは省略
        
        //インスタンスのバイナリ値を取得。
        public IEnumerable<bool> ToBinary()
        {
            List<bool> result = new List<bool>( );
            result.AddRange( 
                BitMaster.FullZero( this._destinationBinary, 8 ) );
            result.AddRange( 
                BitMaster.FullZero( this._sourceBinary, 8 ) );
            return result;
        }   
    }
}

using System;
using System.Collections.Generic;
using MiniBitMachine;
using MiniBitMachine.V1;

class Sample
{
    //not命令文の文字列を生成する
    private static IEnumerable<CompareMove> CreateNotInstruction( 
        Cpu cpu, byte startAddress, byte targetAddress )
    {
        //手順0:実行フラグの場所に対象データを移動
        CompareMove[] result = new CompareMove[ 7 ];
        result[ 0 ] = new CompareMove( 
            cpu.CompareFlagAddress, 
            targetAddress );

        //手順1:手順5へジャンプ
        byte jumpFive = ( byte ) ( 
            startAddress + CompareMove.Length * 5 );
        result[ 1 ] = new CompareMove(
            cpu.ProgramCounterAddress, 
            jumpFive );

        //手順2:比較フラグを真に設定
        result[ 2 ] = new CompareMove(
            cpu.CompareFlagAddress,
            cpu.OneAddress );

        //手順3:対象を1に設定
        result[ 3 ] = new CompareMove(
            targetAddress,
            cpu.OneAddress );

        //手順4:手順6へ飛ぶ
        byte jumpSix = ( byte ) ( 
            startAddress + CompareMove.Length * 6 );
        result[ 4 ] = new CompareMove(
            cpu.ProgramCounterAddress,
            jumpSix );

        //手順5:対象を0に設定
        result[ 5 ] = new CompareMove(
            targetAddress,
            cpu.ZeroAddress );

        //手順6:終了
        result[ 6 ] = new CompareMove(
            cpu.LastAddress, 
            cpu.ZeroAddress );

        return result;

    }

    //メモリに命令を書き込む
    private static void WriteCmovs( 
        byte start,
        Memory m, 
        IEnumerable<CompareMove> cmovs )
    {
        byte index = start;
        foreach ( CompareMove cmov in cmovs ) 
            foreach ( bool v in cmov.ToBinary( ) ) 
                m.Write( index++, v );
    }

    //not命令を実行する。
    private static void NotExecute( 
        byte start, Memory m, 
        byte targetAddress, bool value )
    {
        m.Write( targetAddress, value );
        Console.WriteLine( 
            "{0}の値が{1}の場合に、not命令を実行すると・・・",
            targetAddress,
            m.Read( targetAddress ) );
        Cpu cpu = new Cpu( start, m );
        while ( !cpu.IsStop ) {
            cpu.Fetch( );
            cpu.Decode( );
            cpu.Execute( );
        }
        Console.WriteLine( "結果:{0}",
            m.Read( targetAddress ) );
        Console.WriteLine( );
    }

    static void Main()
    {
        //not命令を実現するcmov命令群を準備
        byte targetAddress = 5;
        byte start =
            ( byte ) ( targetAddress + 5 );
        Memory m = new Memory( );
        Cpu cpu = new Cpu( start, m );
        IEnumerable<CompareMove> cmovs =
            CreateNotInstruction( cpu, start, targetAddress );
        Console.WriteLine(
            "********** Not命令の内容 **********" );
        Console.WriteLine(
            "対象アドレス:{0}", targetAddress );
        Console.WriteLine(
            "フラグアドレス:{0}", cpu.CompareFlagAddress );
        Console.WriteLine(
            "宛先が{0}はプログラムカウンタ",
            cpu.ProgramCounterAddress );
        Console.WriteLine(
            "宛先が{0}はCPU終了", cpu.LastAddress );
        Console.WriteLine( );
        foreach ( CompareMove cmov in cmovs )
            Console.WriteLine( cmov );

        //命令群をメモリに書き込む
        WriteCmovs( start, m, cmovs );

        //not命令を試す
        Console.WriteLine( );
        NotExecute( start, m, targetAddress, true );
        NotExecute( start, m, targetAddress, false );

        //終了
        Console.ReadLine();
    }
}

プログラムそのものは難しくないと思いますが、not命令の実装の部分が難しいと思いますので、これから丁寧に解説しますので安心してください。
 not命令は、7個の手順(終了を除くと実質は6個)のcmov命令の組み合わせで実装できます。各手順の詳細をこれから述べます。

0、比較フラグに対象を代入することにより、
 値が0と1のどちらなのか判断する材料にする。
1、手順5へジャンプは、比較フラグがtrueのとき実行されます。
 つまり、対象の値は1のときジャンプする。
2、この手順にたどり着いたという事は、対象の値は0(false)です。
 このままだと命令が実行されないので比較フラグに1を代入します。
3、対象の値は0なのでその逆の1に変更します。
4、次の手順は、対象の値が1の場合に、実行される命令なので、手順6へ飛びます。
5、対象の値は1なので、その逆の0に変更します。
6、実質的には手順5で終わっています。
 しかしプログラミングの都合上、CPUを停止させる必要があります。
 そこで、CPUの停止を意味するcmovを実行します。

アセンブラプログラミングをしたことがない人は、ちょっと難しいと思いますが、よく手順を読み、紙に値の変化を書いてみたり、ステップ実行したりすると分かると思います。
 ちなみに、論理演算子もnot命令さえあればできます。従って、全ての命令が実現できるといえるのです。パソコンは複雑だと思われがちですが、計算機の原理は意外と簡単です。単純な要素で構成されているので、天才でなくても理解できます。
 今回はこれでお終いです。次回は、リファクタリングについて解説します。
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ジャンル : コンピュータ

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