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計算機の基本原理を味わおう9 - コメントと浮気心は要らない

 この記事は、計算機の基本原理を味わおう8 - 全ての物事はcmovから出来ているの続きです。前回は、cmov命令だけを使ってnot命令を実現し、プログラミングと計算機が、極めて単純な要素の集まりである事を示しました。今回は、リファクタリングとオブジェクト指向について検討します
 さて、ある程度長いプログラムを書いた後は、必ずリファクタリングをしましょう。最初から完璧に実装すればいいという人もいますが、熟練者はそんなことをしません。何故ならば、将来を見据えてテストを作成する事を念頭にプログラミングをするからです。
 熟練者ほど最小限のコードしか書きません。何故ならば、極力早くテストを用意し、リファクタリングに取り掛かるからです。一度に大きなプログラムを書くよりも、小さなプログラムとテストを書いた方が、最終的な生産量が多くなります。人間の思考は有限であり、集中したほうが効率が良いのです。
 前回のプログラムは、冗長でありリファクタリングが必要なのは明白です。では、どこをどうリファクタリングしますか?そう聞かれると、意外と即答できない人が多いです。即答するには、リファクタリングの要点をおさえておく必要があります。
 リファクタリング初心者にお勧めするポイントは、横恋慕とコメントの必要性をなくすです。横恋慕というのは、他のオブジェクトにあるメンバー(プロパティやメソッドなど)を頻繁に参照している状態を指します。それほど必要なメンバーならば、そのオブジェクトに定義してしまえばいいのです。また、コメントは少なければ少ないほど良いです。コメントが多いという事は、それだけ分かり難いコードであることを示しています。ブログや書籍のサンプルは、初心者に対して説明する目的で、コメントを多くしていますが、実務ではそんなコメントを書きません。何故ならば、自明の理だからです。プロならば文法やライブラリのオブジェクトは知っていて当然です。コメントに書くべきことは、書き手の意図とプログラムの意味なのです。
 早速、前回のプログラムをリファクタリングしてみましょう。横恋慕とコメントの必要性を減らすときは、コメントの必要性を減らす方を、最初にした方がやりやすいです。とうことで、コメントの多いところを探すと、not命令を作成する部分が目立ちます。一行ごとにコメントする必要はありません。
 not命令の作成プログラムにあるコメントを減らす方法は、CompareMoveオブジェクトにコメントプロパティを持たせる方法が一番簡単です。CompareMoveオブジェクトに、Commentプロパティと、コンストラクタを用意すれば万事解決です。
 ここで、not命令の生成プログラムがワンパターンである点に気付いた人は、リファクタリングのセンスがいいです。not命令をオブジェクト化してしまえば、何度も使えますし、不必要に長い手順を踏む必要がなくなります。Notオブジェクトを用意し、not命令生成のパターン化した手順をカプセル化しましょう。
 notオブジェクトを定義した後は、同じコードパターンを探しましょう。すると、同じメソッドの組み合わせと、メモリ書き込みが複雑だという点に気付くと思います。この2つのコードは、同じメソッドの組み合わせは、ユーテリティオブジェクトを定義することにより対処し、メモリ書き込みの方は命令オブジェクト自身にさせる事で対処します。
 これらの事を実行すると、今から示すように、サンプルプログラムが簡潔になります。

using System;
using System.Collections.Generic;
using MiniBitMachine;
using MiniBitMachine.V1;
using MiniBitMachine.V1.Utility;

class Sample
{
    //not命令を実行する。
    private static void NotExecute( 
        byte start, Memory m, 
        byte targetAddress, bool value )
    {
        m.Write( targetAddress, value );
        Console.WriteLine( 
            "{0}の値が{1}の場合に、not命令を実行すると・・・",
            targetAddress,
            m.Read( targetAddress ) );
        Cpu cpu = new Cpu( start, m );
        cpu.AllRun( );
        Console.WriteLine( "結果:{0}",
            m.Read( targetAddress ) );
        Console.WriteLine( );
    }

    //not命令を試す
    private static void NotTest( 
        byte targetAddress, byte start, Memory m, Not not )
    {
        not.SetBinary( );
        NotExecute( start, m, targetAddress, true );
        NotExecute( start, m, targetAddress, false );
    }

    static void Main()
    {
        byte targetAddress = 5;
        byte start =
            ( byte ) ( targetAddress + 5 );
        Memory m = new Memory( );
        Cpu cpu = new Cpu( start, m );
        Not not = new Not( targetAddress, start, cpu );
        Console.WriteLine(
            "********** Not命令の内容 **********" );
        Console.WriteLine(
            "対象アドレス:{0}", targetAddress );
        Console.WriteLine(
            "フラグアドレス:{0}", cpu.CompareFlagAddress );
        Console.WriteLine(
            "宛先が{0}はプログラムカウンタ",
            cpu.ProgramCounterAddress );
        Console.WriteLine(
            "宛先が{0}はCPU終了", cpu.LastAddress );
        Console.WriteLine( );
        Console.WriteLine( not );
        Console.WriteLine( );
        NotTest( targetAddress, start, m, not );
        Console.ReadLine();
    }
}

むろん、Notオブジェクトもシンプルです。

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Text;

namespace MiniBitMachine.V1
{
    //not(否定)命令
    public class Not
    {
        //not命令を構成するcmov群。
        private IEnumerable<CompareMove> _cmovs;

        //命令を実行するCPU
        private Cpu _cpu;

        //命令の開始位置。
        private byte _startAddress;

        //対象のアドレス。
        private byte _targetAddress;

        //対象のアドレス、開始アドレス、CPUの情報、を元に、インスタンスを生成する。
        public Not( byte targetAddress, byte startAddress, Cpu cpu )
        {
            this._targetAddress = targetAddress;
            this._startAddress = startAddress;
            this._cpu = cpu;
            this._cmovs = this.CreateInstruction(
                targetAddress, startAddress, cpu );
        }

        //not命令を生成する。
        private IEnumerable<CompareMove> CreateInstruction(
            byte targetAddress, byte startAddress, Cpu cpu  )
        {
            CompareMove[ ] result = new CompareMove[ 7 ];

            result[ 0 ] = new CompareMove(
            cpu.CompareFlagAddress,
            targetAddress,
            "手順0:実行フラグの場所に対象データを移動" );

            byte jumpFive = ( byte ) (
                startAddress + CompareMove.Length * 5 );
            result[ 1 ] = new CompareMove(
                cpu.ProgramCounterAddress,
                jumpFive,
                "手順1:手順5へジャンプ" );

            result[ 2 ] = new CompareMove(
                cpu.CompareFlagAddress,
                cpu.OneAddress,
                "手順2:比較フラグを真に設定" );

            result[ 3 ] = new CompareMove(
                targetAddress,
                cpu.OneAddress,
                "手順3:対象を1に設定" );

            byte jumpSix = ( byte ) (
                startAddress + CompareMove.Length * 6 );
            result[ 4 ] = new CompareMove(
                cpu.ProgramCounterAddress,
                jumpSix,
                "手順4:手順6へ飛ぶ" );

            result[ 5 ] = new CompareMove(
                targetAddress,
                cpu.ZeroAddress,
                "手順5:対象を0に設定" );

            result[ 6 ] = new CompareMove(
                cpu.LastAddress,
                cpu.ZeroAddress,
                "手順6:終了" );

            return result;
        }

        //not命令の文字列表現を取得する。
        public override string ToString()
        {
            StringBuilder result = new StringBuilder( );
            foreach ( CompareMove cmov in this._cmovs ) {
                result.Append( cmov );
                result.Append( Environment.NewLine );
            }
            return result.ToString();
        }

        //指定位置を開始地点にして、自身のバイナリ値をメモリにセットする。
        public void SetBinary()
        {
            byte index = this._startAddress;
            foreach ( CompareMove cmov in this._cmovs )
                cmov.SetBinary( 
                    this._cpu.ReferenceMemory, ref index );
        }
    }
}

ユーティリティオブジェクトもシンプルです。

using System;

namespace MiniBitMachine.V1.Utility
{
    //CPUオブジェクトに関する便利なメソッドを用意する。
    public static class CpuUtility
    {
        //3つの基本動作を連続して行う。
        public static void Run( this Cpu obj )
        {
            obj.Fetch( );
            obj.Decode( );
            obj.Execute( );
        }

        //CPUが停止するまで3つの基本動作を連続して行う。
        public static void AllRun( this Cpu obj )
        {
            while ( !obj.IsStop )
                obj.Run( );
        }
    }
}

using System;
using System.Collections.Generic;

namespace MiniBitMachine.Utility
{
    //バイナリ操作に便利な機能を提供する。
    public static class BinaryUtility
    {
        public static IEnumerable<bool> ConvertBinaryWithZero( byte value )
        {
            return BitMaster.FullZero( 
                BitMaster.ConvertBinary( value ), 8 );
        }
    }
}

 もしかしたら、「CPUとかBitMasterに直接定義すればいいだろ!」とユーティリティオブジェクトを用意する事に疑問を持つ人が居るかもしれません。でも、それはお勧めしません。何故ならば、組み合わせは無数のパターンが考えられ、メンバーが増えるごとに爆発的に増えるからです。それに加えて、常に使用しない組み合わせもあります。そういう時にユーティリティオブジェクトを定義しておけば、必要なときだけ、必要な数のメンバーを定義できます。使用する組み合わせは、ドメイン(問題領域)に依存します。名前空間を別にして、ドメインごとに用意するのが賢明です。
 今回はこれでお終いです。オブジェクト指向の醍醐味とリファクタリングの楽しさが伝わったらいいなと思っています。次回は、最小計算機のヴァージョンを上げて、新しい概念を解説します。お楽しみに♪
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