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計算機の基本原理を味わおう15 - データと命令を分けて管理する

 この記事は、計算機の基本原理を味わおう14 - クラッキングの原理を知り対策を練ろうの続きです。前回は、クラッキングの原理について解説しました。今回は、データと命令を分割する計算機の機能セグメントについて解説します。
 今まで機械語命令をプログラミングするとき、データと命令を分けて考えていました。CPUは0と1しかわからないので、データと命令を人間が分けて管理しないと、出鱈目な命令を実行してしまったり、意味がないデータになってしまいます。しかし、常に、データと命令を分けて管理をするのは煩雑です。常に行うのであれば、CPUにその機能を持たせようと考えるのは自然の流れです。
 CPUは通常セグメントと呼ばれる機能で、データと命令を分けて管理するお手伝いをします。セグメント機能は、データ用メモリ区間と、命令用メモリ区間を決める機能です。具体的には、CPUにデータセグメントレジスタと、コードセグメントレジスタを用意し、そのレジスタの値を用いて、メモリにアクセスします。この手の機能を理解するには、実際にプログラミングするのが一番です。さくっと実装していきましょう♪

using System;

namespace MiniBitMachine.V3
{
    //機械語命令を実行するオブジェクト。
    internal class Executer
    {
        //関係のないメンバーは省略。

        //コードセグメント
        private byte _cs;
        public byte CodeSegment
        {
            get { return this._cs; }
        }

        //データセグメント
        private byte _ds;
        public byte DataSegment
        {
            get { return this._ds; }
        }

        //実行に必要となる情報を指定して、インスタンスを生成する。
        public Executer( 
            ExecuteEnvironment exeInfo, 
            byte ds,
            byte cs,
            Memory memory )
        {
            this._ds = ds;
            this._cs = cs;
            this._pc = 0;
            this._exeInfo = exeInfo;
            this._referenceMemory = memory;
            this.SetValues( );
        }


        //命令を実行する。
        public void Execute( CompareMove command )
        {
            ExecuteType type = this.GetExecuteType( command );
            switch ( type ) {
                case ExecuteType.Normal:
                    command.Destination += this._ds;
                    command.Source += this._ds;
                    command.Execute( this._referenceMemory );
                    break;
                case ExecuteType.UpdateCompareFlag:
                    command.Source += this._ds;
                    this._compareFlag =
                    this.ReferenceMemory.Read( command.Source );
                    break;
                case ExecuteType.UpdatePc:
                    this._pc = command.Source;
                    break;
                case ExecuteType.StopCpu:
                    this._isStop = true;
                    break;
                case ExecuteType.Nothing:
                    break;
                default:
                    throw new ArgumentException(
                        type + "には対応していません。" );
            }
        }
    }
}

using System;
using System.Collections.Generic;

namespace MiniBitMachine.V3
{
    //CPU( Central Processing Unit )。
    public class Cpu
    {
        //関係のないメンバーは省略。

        //コード/データセグメントの初期値と
        //参照メモリを指定して、インスタンスを生成する。
        public Cpu( byte ds, byte cs, Memory memory )
        {
            //各種フィールドを設定
            this._executer = new Executer(
                GetEnvironment( ), ds, cs, memory );
        }

        //メモリから命令を読み出す。
        public void Fetch()
        {
            this._currentCommand = null;
            this._currentBinar = new List<bool>( );
            for ( int i = 0 ; i < CompareMove.Length ; ++i )
                this._currentBinar.Add(
                    this.ReferenceMemory.Read(
                        ( byte ) ( this._executer.CodeSegment + 
                            this._executer.ProgramCounter++ ) ) );
        }

    }
}

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Text;

namespace MiniBitMachine.V3
{
    //inc(インクリメント)命令
    public class Inc
    {
        //関係のないメンバーは省略。
        

        //not命令を生成する。
        private IEnumerable<CompareMove> CreateInstruction(
            byte targetAddress, 
            byte carryFlagAddress, 
            Cpu cpu )
        {
            CompareMove[ ] result = new CompareMove[ 9 ];
            ExecuteEnvironment info = Cpu.GetEnvironment( );

            result[ 0 ] = new CompareMove(
            info.CompareFlagAddress,
            targetAddress,
            "手順0:実行フラグの場所に対象データを移動" );

            byte jumpFive = 
                ( byte ) ( CompareMove.Length * 6 );
            result[ 1 ] = new CompareMove(
                info.ProgramCounterAddress,
                jumpFive,
                "手順1:手順6へジャンプ" );

            result[ 2 ] = new CompareMove(
                info.CompareFlagAddress,
                info.OneAddress,
                "手順2:比較フラグを真に設定" );

            result[ 3 ] = new CompareMove(
                targetAddress,
                info.OneAddress,
                "手順3:対象を1に設定" );

            result[ 4 ] = new CompareMove(
                carryFlagAddress,
                info.ZeroAddress,
                "手順4:桁上がりフラグを0に設定" );

            byte jumpEight = 
                ( byte ) ( CompareMove.Length * 8 );
            result[ 5 ] = new CompareMove(
                info.ProgramCounterAddress,
                jumpEight,
                "手順5:手順8へ飛ぶ" );

            result[ 6 ] = new CompareMove(
                targetAddress,
                info.ZeroAddress,
                "手順6:対象を0に設定" );

            result[ 7 ] = new CompareMove(
                carryFlagAddress,
                info.OneAddress,
                "手順7:桁上がりフラグを1に設定" );

            result[ 8 ] = new CompareMove(
                info.LastAddress,
                info.ZeroAddress,
                "手順8:終了" );

            return result;
        }

        //指定位置を開始地点にして、
        //自身のバイナリ値をメモリにセットする。
        public void SetBinary( Memory memory, byte cs )
        {
            byte index = cs;
            foreach ( CompareMove cmov in this._cmovs )
                cmov.SetBinary(
                    memory, ref index );
        }
    }
}

using System;
using System.Collections.Generic;
using MiniBitMachine;
using MiniBitMachine.V3;
using MiniBitMachine.V3.Utility;

class Sample
{
    //inc命令を実行する。
    private static int IncExecute(
        byte ds,
        byte cs,
        Memory m,
        byte targetAddress,
        byte carryFlagAddress,
        bool value )
    {
        byte target = ( byte ) ( ds + targetAddress );
        byte carry = ( byte ) ( ds + carryFlagAddress );
        m.Write( target, value );
        Console.WriteLine(
            "{0}の値が{1}の場合に、inc命令を実行すると・・・",
            targetAddress,
            m.Read( target ) );
        Cpu cpu = new Cpu( ds, cs, m );
        Console.WriteLine( "※現在の桁上がりフラグ:{0}",
            m.Read( carry ) );
        int result = cpu.AllRun( );
        Console.WriteLine( "結果:{0}",
            m.Read( target ) );
        Console.WriteLine( "桁上がりフラグ:{0}",
            m.Read( carry ) );
        Console.WriteLine( );
        return result;
    }

    //inc命令を試す
    private static int IncTest(
        byte ds, byte cs,
        byte targetAddress,
        byte carryFlagAddress,
        Memory m, Inc inc )
    {
        inc.SetBinary( m, cs );
        int count = IncExecute( 
            ds, cs, m, targetAddress, carryFlagAddress, true );
        count += IncExecute( 
            ds, cs, m, targetAddress, carryFlagAddress, false );
        return count;
    }

    static void Main()
    {
        Memory m = new Memory( );
        ExecuteEnvironment info = Cpu.GetEnvironment( );
        byte carryFlagAddress = 4;
        byte targetAddress = 3;
        byte ds = 0;
        //※CSの加算値はキャリーフラグのアドレス以上にする
        byte cs = ( byte ) ( ds + carryFlagAddress + 1 );
        Cpu cpu = new Cpu( ds, cs, m );
        Inc inc = new Inc(
            targetAddress,
            carryFlagAddress,
            cpu );
        Console.WriteLine(
            "********** inc命令の内容 **********" );
        Console.WriteLine( info );
        Console.WriteLine(
            "データセグメント:{0}", ds );
        Console.WriteLine(
            "コードセグメント:{0}", cs );
        Console.WriteLine(
            "対象アドレス:{0}", targetAddress );
        Console.WriteLine(
            "桁上がりフラグアドレス:{0}", carryFlagAddress );
        Console.WriteLine( );
        Console.WriteLine( inc );
        Console.WriteLine( );
        int count = IncTest( 
            ds, cs, targetAddress, carryFlagAddress, m, inc );
        Console.WriteLine( );
        Console.WriteLine( "メモリのアクセス回数:{0}",
            count );
        Console.ReadLine( );
    }
}

基本は命令を実行するExecuterオブジェクトを更新する事と、アドレス計算の方法が、全体ではなくセグメントレジスタの値を基準に行うように変わる事です。それさえわかれば、特に難しいプログラムではありません。
 ここで一つ、重要な概念が隠れています。それは、バイナリ互換性です。int命令のジャンプを表わす命令に、指定するソースアドレスの値が変わってしまいます。という事は、古いプログラムが正常に動作しなくなってしまいます。既存のプログラムを、すべて変更するのは無理な状況が大半です。仮にできたとしても、その作業は煩雑です。
 バイナリを変更する手段として、パッチを適用するのが一般的です。しかし、パッチを適用するのは意外と煩雑なので、極力パッチを行わなくてもよい方法を考えなくてはなりません。そこで、CPUのメーカーは、CPUにモードを持たせる方法などを採っています。セグメントを使用しないモードと、セグメントを使用するモードを用意すれば、既存のプログラムを動かせます。
 CPUにモードがあれば、一応バイナリ互換性は保てますが、CPUが複雑化します。それ故、実際にあるCPUの仕様は複雑になっています。この事情を理解していれば、実際にあるCPUを理解しやすいと思います。
 今回はこれでお終いです。今回紹介した知識を持っていると、アップデートにまつわる事柄と、互換性にまつわる事柄の大半が理解できるようになります。覚えておいて損はないでしょう。次回は、新しい機能を追加するために、リファクタリングを行います。どのようにリファクタリングすのか、乞うご期待あれ♪
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テーマ : プログラミング
ジャンル : コンピュータ

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Author:インドリ
みなさん、はじめまして、
コンニチハ。

ボクは、無限の夢(infinity dream)を持つネタ好きな虹色の鳥インドリ(in dre)です。
色々な情報処理技術を啄ばむから楽しみにしてね。

http://twitter.com/indori
は別人による嫌がらせ行為です。
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一、社会人としてのマナーをわきまえましょう。
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一、言いがかかり等の行為を禁止します。
一、その他常識的に考えて迷惑なコメントはしないで下さい。


以上のルールを守れない人のコメントは削除します。



利用上の注意
ここに紹介してある文章およびプログラムコードは正確であるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。当サイトの内容によって生じた損害については、一切の責任を負いませんので御了承ください。


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【VB.NETで仮想CPUを作ろう】

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  10. MLU命令の実装とModR/Mについて
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  13. 機械語駆動式 関数電卓を作ろう! 解答編(前半)
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  5. アプリケーション層の勘所
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インテル Parallel Studioを使って並列化プログラミングを試してみた
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