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計算機の基本原理を味わおう16 - 計算機はアドレス計算命

 この記事は、計算機の基本原理を味わおう15 - データと命令を分けて管理するの続きです。前回は、セグメントについて解説しました。今回は、実在の計算機が重視している機能について解説します。
 予定通りリファクタリングをします。リファクタリングと言っても、漫然とコードを短くするだけでは駄目です。将来実装する機能を視野に入れて、リファクタリングする方が効果的です。リファクタリングは一般的に、コードを整理整頓するための行為ですが、何を基準に整理整頓を行うのか、それを考えない事には余計にコードがスパゲッティ化します。
 今回のリファクタリングは、アドレス計算機能の強化です。実際のCPUは、色々なアドレス計算方式があり、それが特徴の内の1つとなっています。この連載で実装している最小計算機に、せっかくセグメント機能を付け加えたのですから、新しいセグメントを利用したアドレス計算法を追加することを目指します。
 アドレス計算機能を強化するのが目的なので、リファクタリングの方針は明白です。アドレス計算を行うオブジェクトを作成し、現在分散されているアドレス計算プログラムを集中管理することにします。早速、アドレス計算を行うオブジェクトを作ってみましょう。

using System;

namespace MiniBitMachine.V3
{
    //アドレスを管理するオブジェクト。
    public class Addresser
    {
        //コードセグメント。
        private byte _cs;
        public byte CodeSegment
        {
            get { return this._cs; }
        }

        //データセグメント。
        private byte _ds;
        public byte DataSegment
        {
            get { return this._ds; }
        }

        //プログラムカウンタ(読み取るメモリの位置)。
        private byte _pc;
        public byte ProgramCounter
        {
            get { return this._pc; }
            internal set { this._pc = value; }
        }

        //アドレス解決に必要となる情報を指定して、
        //インスタンスを生成する。
        public Addresser( byte ds, byte cs )
        {
            this._ds = ds;
            this._cs = cs;
            this._pc = 0;
        }

        //データのアドレスを取得する。
        public byte GetDataAddress( byte baseValue )
        {
            return ( byte ) ( baseValue + this._ds );
        }

        //コードのアドレスを取得する。
        public byte GetCodeAddress( byte baseValue )
        {
            return ( byte ) ( baseValue + this._cs );
        }

        //次の命令が格納されているアドレスを取得する。
        public byte GetNextProgramCounter()
        {
            return ( byte ) ( 
                this.CodeSegment + 
                this.ProgramCounter++ );
        }
    }
}

プログラムそのものは別段難しくないはずです。このオブジェクトを実装したら、分散して存在するアドレス計算プログラムをすべて置き換えます。それらの作業がすべて終わったら、プログラムを実行して正しく動作していることを確認してください。
 アドレス計算方式とは直接的な関係はないのですが、もう一つやっておいた方が良いリファクタリングがあります。それは、命令をフェッチするプログラムをオブジェクト化することです。理由は2つあります。1、実行を担当しているオブジェクトが存在しており、対称性が欲しいです。2、今後機能を追加する事から、できる限り更新範囲を小さくしたいです。という事で、フェッチを担当するオブジェクトを実装しましょう。

using System;
using System.Collections.Generic;

namespace MiniBitMachine.V3
{
    //命令をメモリから取り出す役割を担うオブジェクト。
    class Fetcher
    {
        //アドレスを管理するオブジェクト。
        Addresser _addresser;

        //参照するメモリ。
        Memory _referenceMemory;

        //アドレスを管理するオブジェクトを指定し、
        //インスタンスを生成する。
        public Fetcher( Addresser addresser, Memory memory )
        {
            this._addresser = addresser;
            this._referenceMemory = memory;
        }

        //メモリから命令を読み出す。
        public IList<bool> Fetch()
        {
            IList<bool> result = new List<bool>( );
            for ( int i = 0 ; i < CompareMove.Length ; ++i )
                result.Add( 
                    this._referenceMemory.Read(
                        this._addresser.GetNextProgramCounter( ) ) );
            return result;
        }
    }
}

このフェッチ担当のオブジェクトを実装したら、またフェッチに関するプログラムを変更します。全ての作業が終わったら、プログラムが正常に動作するかのチェックを忘れずに行いましょう。
 リファクタリングは一般的に、スパゲッティプログラムを改善するという守りの姿勢で語られます。しかしながら、実務で行うリファクタリングは、将来行う変更作業を少なくするという攻撃の姿勢で行います。趣味のプログラミングならば、現在だけを考えればよいのですが、実務では将来も視野に入れなければならないのです。ただし、過剰実装とは違うので注意してください。
 将来必要だと思うデータと振る舞いを大量に追加する行為があります。この行為を私は、過剰実装と呼んでいます。過剰実装と、攻撃的リファクタリングとの違いは、余計なものは付け加えていない点にあります。今回新しく実装した2つのオブジェクトを見ればわかると思いますが、大変シンプルで今要求されている仕様しか満たしていません。初心者は物足りないだとか、コードが増えただけだと感じるでしょうが、将来実装されるコードを考えれば、この行為が実に重要なのです。
 熟練者と初心者の違いは色々ありますが、その一つが、今だけを見ずに将来も見通せる所です。未熟な人ほど、過剰にプログラムを書きたがります。しかしながら、必要なプログラム以外書かないのが本当の実力者です。プロは自分を飾りたてる必要はありません。無駄なプログラムを書いたり、現在だけを考えたりせず、本当のプログラミングを行うように心掛けましょう。
 今回はこれでお終いです。次回は新しいアドレス計算法を導入し、搭載可能なメモリの容量を増やします。続く...
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