ネタつつき203 - 日本の情報技術者はどうあるべきか
日本の技術者はどうあるべきなのか、その答えは最古の職人がいる、日本の食文化にあります。日本の食文化は、世界にもまれつつ、独自性を確立してきました。その独自性を支える職人たちもまた、日本独自の精神性を持ち仕事をしています。
ここからが本題です。情報技術に日本の職人の考えを適用してみます。日本の職人は、常に終わりなき進化を求め、あらゆるものを取り入れつつ、それを磨き独自の技術まで発展させます。理由は知りませんが、日本の情報技術者は変化を嫌う保守的な人が多く見受けられるのですが、日本本来の職人は変化に強く、自分に誇りを持っています。ただし、情報技術者だけではなく、現代の日本人の多くが保守的になっているのかもしれません。しかし、日本古来の人々は変化に強いので、その点に注目し、具体的に考えていきます。
先ずは開発手法です。開発手法の主流は、アジャイル開発ですが、実践している身としてはすでに古く感じますし、そこに日本の独自性がありません。日本の特色を踏まえて考えるに、速いのは当たり前で、それ以上のものを求めなくてはなりません。私は一イテレーション1時間で開発できますが、それだけだと意味がないと思っています。ではどうすればいいのか?それについて、いろいろ考えられると思うのですが私は、「適速適情」がよいと思います。
適速適情というはもちろん私が今考えた言葉ですが、ちゃんと意味も考えています。意味はお客様にとって適切な速さで、求められている情報を提供するという事です。ただ速いだけならば、職人でなくともできます。趣味で作っている人も速くできます。しかし、お客様あっての仕事ですから、その段階で満足するのではなく、自由自在に速さをコントロールし、お客様におもてなしをせねばなりません。また、お客様にとって、不必要に大きな情報システムを提供しても意味がありませんし、小さな情報システムを提供しても意味がありません。お客様一人一人にあった、情報システムを提供せねば日本の職人とは呼べないと思います。
もう一つ考えられるのは道具(開発ツール)です。日本の料理人は道具に強いこだわりを持ちます。しかし現実は絶望的です。何故ならば、日本政府が知的財産の窃盗を犯罪だとは考えていないからです。私は知的財産の保護を政府に求めたことがあるのですが、その時に「知的財産の窃盗や強奪を犯罪だと思えない」と明示的に拒否されました。それ故でしょうが、知的財産が盗まれ放題なのが現実です。作れるのに作れない非常に歯がゆいです。私ごときがいくらでも考えられる状態ですので、日本独自の進化を遂げられる情報技術者は数百人いるでしょう。政府さえまともに対処すれば、世界一の情報大国になれるのに、自ら放棄するなんて残念です。非常に不本意ながら、日本政府(民意)がそう考えているので、独自の仕事道具を発展させることはできません。仕方がないので、秘密の道具を作り、日本独自のOS・言語・開発環境を作らず、海外のものをうまく使いこなす方向で進化するしかありません。ちょっとした道具ならば、秘密にできるでしょうし、使いこなし術も進化させる余地があると思います。むろん私自身もそうしています。
その方向で具体的に考えると、新しい技術はひとまず調べてみる、そしてお客様の要望を見極め、必要ならば使うという事になると思います。
さらに、日本人としてやらねばならないことがあります。日本には「道」というものがあります。そこに独自性があるので、情報道を考えねばなりません。残念ながら、今の情報産業は非道が日常化しているので、道と呼べるものがありません。お金を儲ければ何でもいいという感じです。ですから、個々の日本の技術者が道を模索する必要があるでしょう。
纏めます。情報技術者も日本人ですので、日本独自の技術者にならなくてはなりません。真の国際化とは、個性を磨くことであり、日本独自の強みがなければなりません。日本独自とは、「おもてなし」で象徴されるように、お客様に要望に真摯に応える姿勢の事であり、そこに道がなければなりません。しかしながら、現在は道がないので、日本の技術者は道を模索する必要があるでしょう。ただお金を儲ければいいという考えは日本人にふさわしくありません。ただ儲けるだけならば詐欺師(犯罪者)にもできます。しかし職人は詐欺師ではありません。適時適情で客様に応えられるように、日々新技術を取り入れつつ鍛錬をしながら、正しい道を築くのが日本の情報技術者のあるべき姿だと私は考えています。