ニュースを分析22回 - 特許ビジネスの裏話
特許ビジネスにおいて重要なのは、何よりも戦略です。特許の出願をした時点で、内容が漏れてしまうので、盗まれる前提で儲けを生み出さねばなりません。従って、特許出願時において、何を書くのかも重要ですが、何を書かないのかの方が重要です。小保方さんが言うコツの様なものは、絶対に秘密にします。
というのも、悪質な企業はいくらでもあり、まねて特許を出願する企業も出現します。また、勝手に商品を作って販売するなんてこともざらにあります。そういった企業は、裁判で負けようが気にしません。その前に売り抜けるだけです。そのほかにも、色々な犯罪手法が存在します。悪質な企業は呆れるほど、手を変え品をかえ犯罪を行います。
という事で、何を公開して秘密にするのかを慎重に検討します。検討する人々は、特許に強い弁護士と経営陣です。発明者は経営戦略会議にほとんど参加しません。何故ならば、特許ビジネスと特許の内容は別次元の話であり、世間知らずの研究者には理解できない事だからです。かく言う私ももちろんそうでした。今は経営の方もやっているので知っていますが、お金に興味がない研究者は、特許戦略について知っていることはほぼないといってもよいでしょう。
そういった方面から考えると、小保方さんは脇役です。また、理研の人達がほとんど知らないというのも、あり得ない話です。兆単位のビジネスをしているときに、責任者が知らない何てことあり得ません。特許ビジネスは、厳密に予定を組み、経営戦略に沿って物事を展開していきます。特許ビジネスは時間との戦いであり、いち早くマーケットシェアを高め、費用を回収せねばなりません。そうしないと、泥棒企業にマーケットを奪われてしまいます。この辺は、戦争といってもよいぐらいものであり、ルールなんてあってないようなものです。それ故に、厳密に戦略を練り、細かいところまで細心の注意を払います。
ちなみに、特許の内容について隠蔽しても、解析するプロがいるので、いずればれてしまいます。産業スパイもいますし、ある程度公開しなければならない以上、専門家は内容を解析して模倣できます。そういう事から、特許ビジネスは時間との闘いなのです。
それにも関わらず、日本のマスメディアは、その貴重な時間を奪いました。損害額は軽く見積もって億単位で、下手すれば兆単位になるかもしれません。STAP細胞の内容を見るに、特許ビジネスの規模としては、兆単位と考えるのが妥当でしょう。その莫大な損害は誰が責任をとるのか、それを問いただしたいです。おそらく、マスメディアは何も考えていないと思います・・・
報道する前に、特許ビジネスに関しての基礎知識ぐらいもってほしいと思えてなりません。持っていれば、こんな愚かな事をして、莫大な損害を出さないと思います。いや、持っていても儲かると思ったらするかな・・・
それにしても、莫大な被害をだして、いまだに特許の詳細を公開しろと騒いでいるマスメディアにはあきれ返るほかありません。日本の利益を損なっているのを自覚していないのでしょう。今回の事件(本当は事件ですらない)で一番悪いのは、どう考えてもマスメディアです。日本に損害を与えるのはいい加減にしてほしいです。