C++/CLIをつつく26-引数の参照渡し。時には曖昧にしておくのがベスト。
値渡しの場合は、「この原価計算報告書を部長に渡してね」と直接対象を指して言っているのと同じなんだ。一方参照渡しの場合は、「この書類部長に渡してね」と間接的に対象を指しているということなんだ。つまり、この2つの言い方の違いは、 替えが可能かどうかなんだ。 先ほどの例で言うと、原価計算報告書と違う書類を渡した時、 値引き渡しの場合は「おいおい○○。これ原価計算報告書じゃないぞ。」と注意されるのに対して、 参照引き渡しの場合は何も言われない。だって「書類」って曖昧に言っているからね。
何故このように2つの引渡し方法がC++/CLIにあるのかというと、 プログラムの柔軟性と 効率性を高めようとしているからなんだよ。 論よりもプログラミング。毎度御馴染みサンプルコードを実行してからよく見て。
#include "stdafx.h"
using namespace System;
using namespace System::Diagnostics;
ref class Program {
public:
static double Calculate( Int32 value ) {
return value *
Convert::ToDouble( ( (DateTime^) DateTime::Now )->Ticks );
}
static void RefCalculate( Double% value ) {
value *=
Convert::ToDouble( ( (DateTime^) DateTime::Now )->Ticks );
}
};
int main(array< System::String ^> ^args)
{
Stopwatch^ watch = gcnew Stopwatch( );
const Int32 max = 1000000;
Double result = 0;
//値引渡し
watch->Start( );
for(Int32 i = 0; i < max; i++) {
result = Program::Calculate( i );
//resultを使って何かの計算をする
}
watch->Stop();
Console::WriteLine(
"値引渡し時の実行時間は{0}ミリ秒です。",
watch->ElapsedMilliseconds );
//参照引渡し
watch->Reset( );
watch->Start( );
for ( Double i = 0; i < max; i++ ) {
result = i;
Program::RefCalculate( result );
//resultを使って何かの計算をする
}
watch->Stop( );
Console::WriteLine(
"参照引渡し時の実行時間は{0}ミリ秒です。",
watch->ElapsedMilliseconds );
return 0;
}
どう?値引渡しと参照引渡しどちらが速かった?この状況で参照引き渡しの方が速い理由は 同じ変数を使いまわせるからなんだ。 値引渡しの場合は実行環境が毎回値を作成しているから、何度も使いまわしする場合にはスピードが落ちるんだ。 だから、参照引渡しの使い方をマスターしておくと、より効率がいいプログラムが組めるんだよ。 何度も試してマスターしておこう。
でも正直に言うと、このサンプルのスピードは、引渡し方法だけではなくてキャストが影響しているんだけど、それについては難しいから今後説明するピヨ。
説明終わり。ということでこの記事は終わり。
※C#の記事はここで終わっているけど、C++/CLIの場合、コンパイラオプションを最大限の最適化 (/Ox)にした時参照渡しの方が遅くなるから注意してね。 原因は今後調査しようと思っているピヨ。今度は本当に終わり。
追記:
この記事はボックス化を同時に説明しようとして失敗しました。そこで、只今応急処置としてボックス化をキャストへ修正しました。後日改めて「ボックス化/アンボックス化」、「参照引渡し」、「キャスト」、「ボックスとキャストの違い」を各記事に分けて書きます。